2013 Fiscal Year Research-status Report
感覚性強化による動物のオペラント行動の形成と脳内ドパミン作動性神経系との関連性
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23530947
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
筒井 雄二 福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (70286243)
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Keywords | 行動実験 / 動物 / 好奇心 |
Research Abstract |
24年度の研究では,ラットを被験体とし,光刺激(=視覚刺激)を強化刺激として用いた感覚性強化の実験モデルを構築した。ラットのレバー押しに対して光刺激を提示することにより,エサを報酬として提示しなくても,ラットのレバー押しが増加するようになることが確認された。更に,そのような現象が,動物の摂食を制限し,標準体重の85%を維持するような飼育条件下で飼育することにより増強されることも確認した。これらの実験から,光刺激の提示が一次的報酬のような強化機能をもち,動物の道具的行動の発現を促進させることがわかった。このような行動実験系を好奇心の行動モデルと位置づけ,好奇心の神経メカニズムを探る研究をスタートさせた。 25年度は,光刺激を用いた好奇心の行動モデルを用いて,脳内の神経系がどのように好奇心と関わっているのかについて研究を進めることにした。特にこれまでの研究から脳内ドパミン神経が強化効果という現象と密接に関わっていることが知られている。そこで,まずは腹側被蓋野から投射するドパミン神経が神経終末をおく側坐核と呼ばれる部位に焦点をあて,ラットにおける側坐核の破壊が好奇心の行動モデルの遂行に与える影響について分析を行った。更に,側坐核におけるドパミン伝達に特異的な破壊を施すため,6-OHDAを用いた破壊実験を現在進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該研究は,ラットを被験体として「好奇心」の脳内メカニズムを解明することを目的として研究計画を立てている。行動実験モデルを確立し,神経科学的手法を応用することで当該問題を解明するという計画である。現在,研究は最終段階を迎えており,すでに神経科学的手法を用いた好奇心の脳内メカニズムに関する研究に着手しているところである。しかしながら,長期間を要する行動実験を行っていることにより,研究に多少の遅れが生じている。研究期間の1年間の延長を申請し,残された最後の実験を現在進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
現在,最終実験に着手しており,今年度中にはすべての実験データが出そろう見通しである。また,これらの研究データの公表について,国際学会での発表を含め現在,検討中である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初,提出した研究計画書に基づき実験を進め,平成25年度にはラットの感覚性強化の遂行と脳内ドパミン作動性神経系との関係を調べるための研究に着手した。側坐核という部位に対する外科的処置法として(1)電気破壊法と,(2)化学物質を使った方法を採用しているが,いずれの方法も破接部位の座標と破壊の強さを決定するための予備研究に予想外に時間を要したため,実験の遂行が遅れている。次年度使用額が発生しているのは,そのような理由である。 予算については以下の通り使用する計画である。 (1)実験遂行のための物品費:実験動物の購入や,実験動物のための飼料,薬品,必要があれば実験装置についても購入を考える。また,データ解析や論文化作業のために必要な消耗品の購入も見込んでいる。(2)研究発表のための旅費・学会参加費:研究成果を26年度に開催されるFENS(ヨーロッパ神経科学学会)等の学会で公表する。その際の旅費,参加費として使用する。(3)英文校閲費:研究発表に関わる英文校閲費として使用する。
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