2014 Fiscal Year Annual Research Report
感覚性強化による動物のオペラント行動の形成と脳内ドパミン作動性神経系との関連性
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23530947
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
筒井 雄二 福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (70286243)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 行動実験 / 好奇心 / 強化学習 / ドーパミン / 側坐核 / 感覚性強化 / 視覚刺激 / 動物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はインターネット依存やオンラインゲーム依存の背景に,視聴覚刺激による行動の強化の問題,すなわち感覚性強化の問題が関与すると考え,視覚刺激や聴覚刺激などによる感覚性強化子を用いた強化学習の動物モデルを構築し,感覚性強化の神経機序を明らかにする目的で行われた。 最初の段階では聴覚刺激(23年度)や視覚刺激(24年度)を感覚性強化子とする学習モデルをラットを実験対象として構築した。その後,ラットによる感覚性強化学習実験をベースに,感覚性強化と脳内のドパミン作動性神経との関連性を調べた。25年度の研究ではドパミン作動性神経の神経終末が集中する側坐核を破壊した場合の感覚性強化への影響について検討した。 26年度はドパミン作動性神経を選択的に破壊する神経毒である6-hydroxydopamine (6-OHDA)を側坐核に注入することで,側坐核に所在するドパミン作動性神経と感覚性強化との関連性について検討した。スキナー箱内のレバーをラットが押下している間,電球を点灯させることでスキナー箱内を60ルクスで明るくした。22匹の雄性ウィスタラットを被験体として用いたが,手術中または手術後に3匹が死亡した。また,6-OHDAの投与の問題により側坐核のドパミン含量が低下しなかった4匹の実験データを分析に加えなかった。結果的に6-OHDA投与群8匹とコントロール群7匹のデータを分析に用いた。分析の結果,2群間の消去抵抗に有意な差が認められた。6-OHDA投与群の消去抵抗は,コントロール群に比べて小さいという結果であった。感覚性強化子を用いたオペラント条件づけは,エサや水など,一次性強化子を用いた条件づけに比べてそもそも強化力が弱いと考えられるが,そのような弱い学習効果を維持することに側坐核ドパミンが関与していた可能性が考えられた。
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