2011 Fiscal Year Research-status Report
対側ノイズ提示時の能動的聴覚弁別にともなう聴性脳幹反応の変容
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23530950
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
池田 一成 東京学芸大学, 教育実践研究支援センター, 准教授 (50293006)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 事象関連電位 / 選択的注意 / 聴性脳幹反応 |
Research Abstract |
平成23年度の計画では、片側ノイズ提示時の両耳分離聴課題において刺激音の周波数差がERPにおよぼす影響を検討することとした。実際には予定実験の予備的検討まで実施した段階にある。予備実験から明らかになった次の諸点を考慮し、平成24年度に本実験を予定している。1、当初は刺激条件として片耳へノイズを提示する場合のみを予定していたが、片耳へのノイズ提示が無い刺激条件も検討することにした。2、ほとんどの両耳分離聴課題は後期ERPを指標としているため、従来の刺激変数ではABRのような初期ERPを指標とする場合に適合しない。予備実験を実施し、両耳分離聴課題の刺激変数を次のように求めた。(1) ABRでは加算試行数を2000程度にするため、刺激間隔を従来の両耳分離聴課題より短縮する必要に迫られた。一方、注意に関連する後期ERPを安定して測定するためには刺激間隔をある程度長くする必要があった。そのため、ABRと後期ERPの同時計測が最適になされる刺激間隔の探索をおこなった。(2) ABRは反応振幅の小さなERPであるため、安定した反応を確保するため、刺激音圧を従来の両耳分離聴課題より大きくする必要が生じた。一方、単に音圧を大きくした場合、両耳分離聴課題時の後期ERPに受動的注意の影響があらわれ、両耳間の注意の切り替えが充分になされなかった。このため、刺激音圧の水準を高く維持しつつ両耳間の注意の切り替えがなされるよう、最適な刺激音圧の探索をおこなった。(3) ABRの反応性は刺激音の持続が短いほど良い。一方、両耳分離聴課題において後期ERPの選択的注意効果は刺激音の周波数差が僅少であるとき増強するが、この場合には周波数特異性を確保するため刺激音の持続をある程度長くする必要がある。予備実験ではABRの反応性と後期ERPの選択的注意効果とを同時に充足させるため、刺激音の周波数差と持続を探索した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画から、やや遅れていると考えられる。その理由として、実験の予備的検討に時間を要したため、計画では平成23年度内の本実験開始を予定していたが、それが平成24年度になったことがある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度には、ERPを指標として両耳分離聴課題における刺激音の周波数差の効果を検討し終えることをめざす。前期では片耳へのノイズ提示が無い刺激条件を、後期では片側へノイズを提示する刺激条件を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度では、オージオメータの貸与が可能になりオージオメータの購入をしなかったこと、ならびに海外旅費を支出しなかったことから、次年度に支出すべき研究費が生じた。平成24年度では聴覚刺激測定機器の購入等を実施することにより、繰り越された研究費を適切に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)