2011 Fiscal Year Research-status Report
眼球運動軌跡の個人差を比較する方法の開発および検証
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23530955
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
十河 宏行 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (90359795)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 眼球運動 / 個人差 |
Research Abstract |
今年度実施を計画していた作業内容は(1)ScanMatchを自在な領域分割に対応できるように拡張する、(2)視覚探索課題を用いてScanMatchアルゴリズムの有効性を評価する、(3)交通場面の危険予測課題を遂行中の軌跡を比較する実験の準備をする、の3点である。(1)についてはScanMatchを実行するためのスクリプトを完成させたが、画像ファイルを用いて領域分割を行うツールについては開発を継続中である。(2)についてはランドルト環のような切れ目のある円の中から切れ目のない円を探す課題を遂行中の眼球運動軌跡と、同様の刺激配置を紙に印刷したものを一筆書きした時の軌跡をScanMatchで比較することによって、ScanMatchの有効性を検討した。その結果、ScanMatchは標準的なパラメータを使用した時には軌跡の長さ、すなわち軌跡を記号列に変換した時の記号列の長さが類似度の評価に強い影響を持っていることが明らかになった。さらに分析を行うことにより、記号列への挿入コストを調整したり、軌跡の長さを正規化したりするなどの手法を用いることによって長さの影響を軽減できることも確認したが、このような調整が必要だという事実はScanMatchの利点を損なうものであると言わざるを得ない。(3)については、交通場面の写真を集めて予備実験を行った結果、動画を刺激として用いたほうが自転車の飛び出しや歩行者の急激な方向転換などの危険予測上重要な場面における判断を評価できると考え、現在動画を刺激とした実験を準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度に実施を予定していた3つの項目のうち、(1)については次年度に一部の作業を残してしまったが、(2)の視覚探索課題を用いたScanMatchの有効性の評価と(3)の危険予測実験の準備は順調に実施することができたため、「おおむね順調に進展している」と評価してよいと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
ひとつのツールとしてScanMatchを簡単に実行できることは学術的な価値があると思われるので、ScanMatch用ソフトウェアの開発は計画通り推進する。しかし、ScanMatchの有効性については今年度の成果より疑問符がついたため、最終的に研究成果をまとめて論文を執筆するときには「ScanMatchの有効性を検証する」という目的ではなく、軌跡の類似性を評価するという目的の研究の中で、ひとつの手段としてScanMatchを用いるという形への変更を検討する必要があるだろう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は実験協力者を必要と必要とする規模の実験を行わなかったため、実験協力者への謝金分を次年度に使用する予定である。次年度はおもに実験協力者への謝金と研究成果発表の旅費として研究費を使用する予定である。
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