2011 Fiscal Year Research-status Report
2色覚者における黄青色知覚メカニズム特性に関する研究
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23530956
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
須長 正治 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 准教授 (60294998)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 2色覚 / 色覚異常 / 色覚シミュレーション / 視覚探索 / 色弁別 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、2色覚者における黄青色知覚メカニズムの特性が3色覚者の黄青色知覚メカニズムと同じであるかどうかを検討することにある。現在、2色覚者の色メカニズムは、3色覚者の赤緑、黄青の2つの色チャンネルのうち黄青チャンネルしかなく、2色覚者の色の見えは、ユニラテラル2色覚者の色の見えを考慮し、中性色を境に主波長575nmの色相と同じ黄色、主波長475nmの色相と同じ青色となると考えられ、その見えのシミュレーションも広く知られるようになった。しかしながら、その色の見えのシミュレーションの正確性については十分に検討されていない。そこで、視覚探索課題によりシミュレーションの評価を行った。実験では、多色の中から目標となる色を見つけるという課題を被験者に課し、見つけるまでの時間を測定した。2色覚者には、そのままの刺激を、3色覚者にはその刺激に2色覚シミュレーションを施した刺激を提示した。もし、シミュレーションが正しければ、目標刺激を見つけるまでの時間の差は両者間でないはずである。しかしながら、その時間は、定性的には類似した傾向を示したが、定量的には一致しなかった。すなわち、2色覚シミュレーションは視覚探索パフォーマンスを予測することができない。さらに、実験を重ね、現在のシミュレーションを修正し、反応時間まで予測できる方法を提案した。この研究成果は、現在、使われている2色覚者のシミュ―ションが不十分であることを意味し、2色覚者の黄青の見え方を過大評価している可能性を示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2色覚者の色の見えシミュレーションの検討という側面から、2色覚者における黄青メカニズム特性を検討した。その結果、2色覚者の黄青メカニズムの特性を反映していると思われる2色覚者の色の見えシミュレーションは2色覚者の視覚探索課題のパフォーマンスを定性的に予測することができるものの、定量的な予測を与えることができないことを明らかにした。さらに、定量的な予測を与えるには、2色覚者の色の見えシミュレーションは修正を必要し、その修正として、黄、青方向の彩度を低下させる方法を提案した。また、その有効性の検討も行った。現在、この成果を論文としてまとめ、投稿準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
2色覚者の色の見えシミュレーションにて、彩度を低下させることによって、実際の2色覚者の視覚探索パフォーマンスを予測することができるようになったが、この科学的根拠は希薄である。そこで、今後、2色覚者と3色覚者での黄青方向の色弁別能の比較し、その科学的根拠を得る計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、高額な備品購入の予定はなく、平成23年度に行った研究の成果をヨーロッパ視覚学会で発表するための出張費、実験を遂行するための消耗品費、被験者謝金、英語論文校正費として使用する予定である。
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