2012 Fiscal Year Research-status Report
女性の感情障害脆弱性の基盤となる神経内分泌機構の検討
Project/Area Number |
23530957
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
富原 一哉 鹿児島大学, 法文学部, 教授 (00272146)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 園子 筑波大学, 人間総合科学研究科(系), 教授 (50396610)
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Keywords | 情動の性差 / 神経内分泌 / エストロゲン / マウス / 産後うつ / 不安 / 選択的エストロゲン受容体アゴニスト / 恐怖学習 |
Research Abstract |
女性の抑うつや不安などの情動障害の発症にはエストロゲンなどの性腺ホルモンが深く関与すると考えられているが、実験的研究では、エストロゲンが情動関連行動に及ぼす効果は一貫していない。そこで我々は、メスマウスの情動行動に対するエストロゲンの用量依存的効果を検討し、高用量の17β-estradiolの投与は、特にその作用期間が長期である場合に、メスマウスの情動行動を亢進させ、一方、低容量のエストロゲン投与は、むしろ情動行動を低減させることを明らかとした。この結果を受け、24年度はまず、それぞれの処置によって引き起こされる血中の17β-estradiol濃度を確認することとした。化学発光免疫測定法とLC-MS/MS法によって定量したところ、情動行動の亢進が認められる高用量の投与では、自然発情周期における発情期よりもむしろ妊娠期に相当する高いレベルの血中E2濃度が示され(20~120pg/ml)、逆に情動反応が抑制される低容量投与では、発情期レベル以下(5~10pg/ml)の血中E2濃度が示された。 また、24年度においては、 17β-estradiol投与による情動調節効果がERαとERβのどちらを介して発揮されるのかを確定することを目指して、 ERαアゴニストを浸透圧ポンプによって長期慢性投与し、メスマウスの情動行動を測定した。これまでのところ、17β-estradiolの低容量投与に対応するERαアゴニストの慢性投与では、メスマウスに対して情動行動調節効果が示されないことが明らかとなった。したがって、低容量投与の情動抑制効果は、主にERβを介して発揮されているものと考えられる。この結果は、ERβ遺伝子損傷マウスを用いた先行研究(Tomihara、 et al. 2009)とも合致している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
24年度は、ERαとERβの各アゴニストを用いて、それぞれの受容体が情動行動調節に果たす役割を検討する予定であったが、投与手続きや用量選定に関する問題の発生で、実験を何度かやり直す必要が生じ、低容量ERαアゴニストの投与までしか検討を終えることができなかった。この点は当初の予定と異なり、申請した研究期間中に目標を達成するために、いくぶん計画の修正が必要となると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は研究進行がやや遅れたため、平成25年度については、高用量投与による情動亢進効果に対するERαの関与に焦点を絞って検討を進めることにする。これは、既に他の研究グループによるいくつかの研究で、情動抑制効果に対するERβ受容体の役割について明らかとなってきているためである。 また25年度においては、グルココルチコイド受容体拮抗薬を用いたHPA軸の操作やセロトニン拮抗薬、作動薬を投与した場合のエストロゲン誘導性情動反応促進に対する影響を測定することにより、このエストロゲンの情動性促進の神経内分泌メカニズムについて仮説的モデルを作成することとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度研究費については、当初予定通り、主に各種アゴニスト、浸透圧ポンプ等、実験実施に必要な消耗品の購入に使用する。また、研究成果発表のための学会参加費等にも用いる。
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Research Products
(4 results)