2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23530960
|
Research Institution | Kawamura Gakuen Woman's University |
Principal Investigator |
戸澤 純子 川村学園女子大学, 人間文化, 教授 (40211396)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 絵画知覚 / 形の恒常性 / 傾きの恒常性 / 知覚恒常性 |
Research Abstract |
本研究の大きな目標は、2次元面の知覚である絵画知覚は、3次元空間の知覚である知覚恒常性のメカニズムによって説明が可能かどうかを実験的に調べることである。この問題に対する主要な理論的立場は、2次元的な知覚も3次元的な知覚も同じメカニズムで説明できるという立場と、異なるメカニズムを仮定する立場がある。本研究代表者の仮説は、現時点では前者の立場に立っている。本研究者の仮説を検証するために、実験的な検討が行われた。 本年度の実験的検討として、コンピューター画面で提示した絵画面を、観察者に正面から、もしくは斜め方向から観察してもらいながら、面の形、傾きの知覚属性についての判断を求めた。実験の結果、いずれの方向から観察しても、判断値に有意な差異は認められなかった。この結果は、視覚システムは、斜めから観察した際の投影上の歪みを補正するという絵画知覚における補正過程が生じたことを示唆する。さらに、空間知覚において手がかりが豊富である条件において、知覚恒常性の程度が高いという従来の数多くの観察結果に基づいて、空間知覚の手がかりの条件を設けて、観察者に知覚判断を求めた。それらの実験結果を要約すれば、空間知覚の手がかりが豊富に利用できる方が、絵画知覚における補正過程が生じやすい結果の傾向が認められた。これらの結果は、絵画面の知覚においても、形と傾きの知覚恒常性のメカニズム、もしくは類似したメカニズムが生じている可能性を示唆している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初の仮説に基づいた実験的検討を行った。この検討から、様々な問題点を見出し、来年度以降、改めて実験的検討を進める。研究論文が完成していない点が、反省点である。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究においては、絵画知覚と形の恒常性、傾きの恒常性の関係を考えた。この点については、当初の予定道理であり、今後もこれらの問題について検討を加える。さらにこれらのデータから、絵画知覚の補正過程には別の恒常性が関与するという仮説を考えたために、今後は新たな実験計画に基づいて、実験を行う
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度と同様に、次年度も実験的検討を引き続き行う。そのために、実験に関わる物品の購入を必要とする。国内学会での発表を行うことから旅費を、また英語論文のための校閲代を必要とする。
|
Research Products
(2 results)