2012 Fiscal Year Research-status Report
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23530960
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Research Institution | Kawamura Gakuen Woman's University |
Principal Investigator |
戸澤 純子 川村学園女子大学, 生活創造学部, 教授 (40211396)
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Keywords | 絵画知覚 / 形の知覚 / 肌理勾配 / 高さ知覚 / 傾きの知覚 |
Research Abstract |
本研究の主要な目標は、2次元面の知覚である絵画知覚について実験的に調べることである。 当該年度は、コンピューター操作による2次元面において、肌理勾配の有効性について、高さ知覚と形の知覚の2属性について、実験的に検討した。肌理勾配は傾き、幅(大きさ)の知覚に有効な手がかりである。このことは従来より理論的枠組みとともに、多くの実証データが報告されてきた。ただし肌理を持つ地面上にある物体の高さや形に対してどのような影響を与えるのかは、これまで十分には検討が行われてこなかった。研究代表者は、独自に肌理勾配が高さのために有効な手がかりであるという仮説を立てた。この仮説は、同じ高さの垂直対象が覆う肌理数は、距離とともに変化するものの、覆う肌理数と対象の視角を組み合わせれば、距離に関わらず不変であるという仮説である。この仮説を実験的に検討した成果を、外国雑誌に投稿し審査者から高い評価を頂戴し、雑誌に掲載された。この研究成果の理論的背景は、絵画知覚における視覚情報処理過程と、3次元空間の視覚情報処理過程は、利用可能な手がかりが異なる場合もあるが、原則として同一の過程である立場を支持する。 次いで肌理勾配が2次元的な形の知覚に及ぼす影響を実験的に検討した。現在は、この実験結果に基づいて、論文を執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、独自の仮説に基づいた実験的検討を行い、研究成果を海外雑誌に掲載できた点は評価できる。ただし知覚恒常性との関連について、理論的な考察に加え、実験データの集積が不十分な点がある。様々な側面から絵画知覚の諸問題について、さらに実験的な検討を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、肌理勾配が形の知覚に及ぼす影響を検討した実験刺激と同じ実験刺激を用い、絵画知覚の補正過程と形の恒常性を検討する。すでに検討を行った形の知覚に対する肌理勾配の影響は、2段階の視覚情報処理で説明が可能であるとの結論で、論文を執筆中である。このモデルは、肌理勾配が傾きの知覚を決定した後に、傾きが形に影響を及ぼすという視覚情報処理である。 今後は、このモデルが、正面から観察した場合も、斜めから観察した場合にも同様に当てはまるとの仮説に基づいて、実験を行い、成果を発表する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の主な使用計画は、次のとおりである。 1)科学研究費の補助を受けて実施した実験に関する研究論文を、現在執筆中である。英語圏の雑誌に投稿を予定しているために、英文校閲料を必要とする。 2)実験を実施したコンピューター装置はWindowsXP機種であった。本年度も実験を実施するため、Windowsのメンテナンス等の必要から、新機種を購入する。その装置を使用して、実験を継続して実施する。 3)研究課題の最終年度であるために、報告書の作成を行う。そのために印刷費を必要とする。
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Research Products
(3 results)