2013 Fiscal Year Annual Research Report
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23530960
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Research Institution | Kawamura Gakuen Woman's University |
Principal Investigator |
戸澤 純子 川村学園女子大学, 生活創造学部, 教授 (40211396)
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Keywords | 絵画知覚 / 形の恒常性 / 補正過程 / 形の知覚 |
Research Abstract |
本年度は、前年度に引き続き絵画知覚に関する実験を行い、研究論文を2編執筆した(論文の一編は継続して執筆中)。 実験の仮説として、絵画知覚における補正過程が、三次元空間の知覚である形の恒常性と同じメカニズムによって生じるのであれば、二次元面の絵画において、空間知覚の手がかりが豊富な条件と、乏しい条件との間で、補正の生じる程度に違いが生じるはずである。この仮説に基づいて、正面、斜めからの観察の観察位置条件と、手がかりの豊富さ条件を設定した。観察位置条件に関しては、観察者はコンピューター画面の実験刺激を、正面または右斜め30度から観察した。手がかりの豊富さ条件に関しては、肌理遠近法手がかり、親しみのある形、縦横比という絵画的手がかりを利用できる条件と、これらの手がかりを部分的にしか利用できない条件を設けた。観察者は、これらの実験条件のもとで、トランプ刺激か長方形刺激の見かけの傾きを報告した。得られた結果は、正面観察、斜め観察ともに、いずれの手がかりの豊富さ条件でも補正知覚が認められることを示した。手がかりの豊富さによって、補正知覚の程度は異ならないことは、絵画知覚における補正過程と形の恒常性は、同一のメカニズムによっては説明できないことを示唆する。加えて、補正知覚のために必要な手がかりは、縦横比手がかりであると考えられ、補正知覚は少ない手がかりによって導かれる可能性があることも示された。これらの実験は、紀要論文として報告された。 この実験に引き続き、絵画知覚における手がかりの有効性も実験的に検討した。この実験では、肌理勾配が形の知覚に与える影響について調べた。得られた結果は、肌理勾配は形の知覚に直接的に影響を及ぼすのではなく、傾きの知覚を仲介して間接的に影響を及ぼすと考えられた。これらの実験を論文としてまとめ、海外雑誌に投稿予定である。
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