2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23530961
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
薬師神 玲子 青山学院大学, 教育人間科学部, 准教授 (30302441)
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Keywords | 実験心理学 / 認知心理学 / 視覚 / 学習 / 運動視 / バイオロジカルモーション |
Research Abstract |
本研究は、これまで心理物理学的な視覚研究においてほぼ独立に検討されてきた、「その物体が何であるかの認知(物体認知)」と、 「それに対してどのようにアプローチすれば良いか(把握すべき場所と方法等の認知)」という二つの問題をつなぐ可能性のひとつとし て、物体運動、特にバイオロジカルモーションに内在する因果構造に着目し、この因果構造を人間がどのように捉え、また利用しているのかについて検討する。具体的方法としては、ベイジアン・ネットワークを利用して因果構造を内包する運動刺激を作成し、その運 動のクリティカルポイント、軌跡、逸脱運動の検出についての実験的研究を行う。 2013年度の研究では、ヒトの腕に類似した、階層構造を持つ連結物体を想定し、その運動クリティカルポイントの検出について、課題方略の違いを検討する為に異なる質問の仕方を行う実験を行い、実験データの取得を行った。そしてその実験データと要素運動は上記刺激と同じであるが階層構造を持たない運動刺激を用いた対応する課題の実験データについて、階層モデルを使用した2種のシミュレーション出力と、階層構造を前提としない計算モデルによるシミュレーション出力との比較を行った。その結果、人間のパフォーマンスの予測には、階層構造のうち、順序構造についての知識が重要であることが示された。さらに、ノイズに対する学習効果について検討したところ、学習の効果は大きくないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度実施予定の研究(クリティカルポイントの検出のノイズに対する頑健性の検討、および運動奇跡の予測 )については、当初予定していた複数のモデルのうち、全ての階層情報を用いるモデルについてその構築が遅れたため、モデル間の比較を行う為の実験の遂行が遅れている。これについては、研究期間を延長して26年度に行う予定に変更した。
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Strategy for Future Research Activity |
逸脱運動の検出(因果構造には則るが,出現確率の低い運動)を扱う実験を行う。そして、これまでの実験結果から導かれた統合モデルをこの新たな実験状況に適応し、その頑健性について検討を行う予定である。円滑な研究推進の為に研究協力者2名を雇用する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度実施予定の研究(クリティカルポイントの検出のノイズに対する頑健性の検討、および運動奇跡の予測 )については、当初予定していた複数のモデルのうち、全ての階層情報を用いるモデルについて、その構築が遅れたため、モデル間の比較を行う為の実験の遂行も併せて遅れている。また、これによって、研究成果を掲載するウェブサイトの開発も終了していない。 モデル間の比較を行う実験を遂行する為の研究協力者1名(11ヶ月)の雇用と参加者への謝礼で80万円、ウェブサイトの開発用として、研究協力者1名(6ヶ月)を含めて50万円、学会発表2回(内1回は海外)の費用として40万円(研究協力者分を含む)、英文校閲等、論文作成にかかる費用20万円を予定している。
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