2012 Fiscal Year Research-status Report
文字と非文字パターンの知覚・認知的処理における共通性と異質性の解明
Project/Area Number |
23530964
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
御領 謙 京都女子大学, 発達教育学部, 教授 (70008960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 英司 千葉大学, 文学部, 教授 (80214865)
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Keywords | 視野闘争 / 文字認知 / 顔認知 / 要約的意味理解 / Attentional Blink |
Research Abstract |
研究目的 24年度の以降の研究目的は 1)視野闘争研究のパラダイムの一つである、onset rivalry 法を用いて、両眼に提示される二つの 異刺激間の一方が選択的に知覚されるメカニズムを、文字刺激や顔写真を用いた実験により探ることと、2)数多くの記号がランダム に存在する画面を一目見てその画面から意味を抽出する要約的意味理解の過程に関し、記号として数字、漢数字、単語などを用いて検 討することであり、24年度には以下の成果を得た。 1)の成果:両眼網膜の凝視点を中心とする対応部に、異なる刺激を闘争刺激として数十から数百ミリ 秒提示すると、典型的には両 刺激のどちらか一方が選択的に知覚される。筆者らは、闘争刺激に先行してどちらか一方の刺激を、片眼または両眼に十分な時間(e.g . 1sec)提示すると、闘争時に見えの変調が生じ、先行提示されなかった新刺激を知覚する確率が際立って高くなることを、色刺激、 幾何学パターン、漢字、ひらがなを用いて明らかにして来た。 23、4年度は顔写真を刺激とし、刺激の正立・倒立要因について検討した。現在はこの成果に加え,仮名と漢字を素材とする実験を継続中である。 2)の成果:9語の情動語をランダムに配置し、200ms提示した。この提示時間ではすべての語を認知する余裕はない。それでも被 験者はこのような画面から、その画面に含まれる情動的に快な語と不快な語の比率の違いを認知できることを実験的に明らかとした。これらの成果に加えさらに実験的検討を加えるとともに,画像記憶のメカニズムに関しても要約的意味把握過程の関与について検討をおこなった。また、文字処理過程と注意過程の関係を探る方法としてAttentional Blink現象についての検討にも着手し、高齢者と若年者の比較から,文字処理過程と注意過程の交互作用についても興味ある事実を得つつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績に記したように、研究目的に上げた2つの目的のどちらについても現在も継続的に実験を行っている。24年度には国際会議において3件、国内学会において1件の発表を行い、2編の紀要論文を刊行した。最終年度は実験の精度をさらに上げ、計画の残りの部分を実施し、研究全体のまとめを行う予定である。これまでに得た成果は我々の検索範囲において今までに得られたことのない貴重な成果も多く、最終年度の成果を合わせれば、数編の論文として公表する価値のある研究となるものと予想できる。 反省点をいえば、申請書に上げた種々の実験条件の取り上げ方において、必ずしも申請書通りとはなっておらず、順不同となった部分がある。具体的には目的1では文字刺激条件の実験の完成をまたずに、顔刺激を用いた実験を先に行ったし、目的2でも単独の文字刺激を用いた一連の実験を完結させること無く、単語レベルの実験を先行させたこと等である。これらは共に、学会等における議論などを通じて、より緊急性の高さの評価を変えたためである。課題4についても若干の計画の遅れがある。 一方で当初計画になかったが、機会を得て文字認知機能と注意機能に関する加齢効果に関する研究にも着手することが出来た。この成果は本研究の最終目的に取って貴重なデータを提供することになると予想される。何れにしても、これらの変更は最終年度において調整を計ることによって、当初の目標通りの成果をあげるうるものと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の積み残し分を早急に実行するとともに、交付申請書の計画を完成させる。具体的には以下の通りである。 【課題2】23、24年度の課題1に引き続き、形態、音韻ないしは意味的に関連する文字を先行提示することにより見えの変調現象が発生しうるかを中心に検討する。さらに空間的に逆転した文字についてもさらに詳しく検討したい。御領担当 【課題4】23年度の課題3の空間的な意味要約課題に関しても実験的検討をさらに進める。他方それらとは対照的に、文字刺激の急速系列提示を用い、ある時間スパンにわたって提示された文字・数字刺激の時間的要約処理を検討し、その特性を空間課題において明らかとなった特性と比較する。文章の速読における意味処理過程の解明につながる。木村担当 上記課題2、4に加え、課題1、3についても成果の再検討を行い、不足している点については補足実験を行う。 また、24年度に引き続き高齢者の実験参加者を募り、本計画の一般性を高めるとともに認知変容の問題にも貢献する予定である。御領担当 最後に代表者と分担者が共同して研究全体の総括を行い,成果の発表に向けて作業を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度はほぼ予定通りに予算を満額消費した。24年度は既存の実験資源を用いた実験が多く、御領担当分で若干経費を残したが,最終年度の25年度にはより多くの被験者を集めた実験を分担者と共に行う予定であり,そのための実験準備や実験実施の補助、データ解析補助等 の業務が必要となり、打ち合わせのための移動も増える。そのために実験環境を拡大するために視覚刺激制御用のプログラム作成に使用するMatLabのライセンスの追加をおこない、また必要な謝金や旅費、および成果をまとめるための経費等を見込んでおり,適切な予算の執行を計る計画である。
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Research Products
(6 results)