2013 Fiscal Year Annual Research Report
文字と非文字パターンの知覚・認知的処理における共通性と異質性の解明
Project/Area Number |
23530964
|
Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
御領 謙 京都女子大学, 発達教育学部, 教授 (70008960)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 英司 千葉大学, 文学部, 教授 (80214865)
|
Keywords | 視野闘争 / 文字認知 / 意味要約 / 見えの変調 / 漢字認知 / 仮名認知 / 数字認知 |
Research Abstract |
「文字と非文字パターンの知覚・認知的処理における共通性と異質性の解明」をめざして、主として二つのパラダイムを用いた実験的検討を進めた。 1)両眼視野の対応部にそれぞれ一文字ずつ、異なる漢字ないしは仮名を200ms提示することに先行して、そのどちらか一方を1秒間両眼ないしは単眼に提示すると、極めて高い確率で先行提示されなかった文字が選択的に知覚される。本研究においてはこの事を一貫して実証してきた。視野闘争においては、先行文字と形態的に異質な文字が選択されるという見えの変調が生じるのである。本年度はこの形態的同一性の効果の頑健さを確認するとともに、新たに音韻的要因の効果を検討した。闘争刺激の一方と同一の音を持つ漢字を、両眼に先行提示する条件で検討を行った結果、先行刺激提示の効果は無く,音韻的要因による見えの変調効果は生じないことが明らかとなった。 2)複数の文字や記号が同時に瞬間的に提示される視野全体から、瞬時にしてその要約的意味を抽出する過程、すなわち高速意味要約過程の研究に関しては、これまでに明らかにしてきた数字や文字刺激を用いた場合の効果に加えて本年度は、何らかの意味的指示を有する幾何学的記号を刺激として用いて実験的検討を進めた。その結果、高速意味要約に有効な要因としては文字、数字、幾何学的記号といった書記形態の種類というよりは、それらの学習の程度、すなわち使用頻度が重要であることを示唆する結果が得られた。 以上、当初計画のすべてを完了するには至っていないが、現時点においても文字や記号の認知的処理における共通性と異質性について理論的に考察するに値するだけの量と質をもつデータが得られており、現在、複数の成果発表に向けて、さらに詳細なデータ解析を行いつつ、理論的考察を進めている。
|
Research Products
(8 results)