2013 Fiscal Year Research-status Report
認知行動を取捨選択制御する前頭前野神経回路機構の研究
Project/Area Number |
23530972
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
瀧田 正寿 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 主任研究員 (40344204)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 清悦 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (10440322)
|
Keywords | 前頭前野 / 海馬 / 扁桃体 / ドーパミン / 記憶 / 意思決定 / 電気生理 / 脳内微小透析法 |
Research Abstract |
【遅延交代反応】ラットの飼育・繁殖・課題のトレーニングは研究代表者と雇用した研究補助1名(15時間/週)が担当した。中央に給水ノズルがあり左右に2ランプ2レバーのあるオペラント箱で、両手を乗せて片手ずつ交互にレバーリリースする1.5秒と3秒の遅延交代課題を訓練した:1.5秒左右と3秒左右の繰り返し。オリジナル課題は4秒と16秒、異なる日の試験(参照:Izaki et al. 2008)。正答率は約9割の個体が1.5秒の方で高かったが、残りは3秒の方が高かったので、異なるストラテジーが用いられている可能性があった。【高架式十字迷路】安定した結果が得られるようになった。遅延交代課題との相関解析を行い、作業記憶能と不安指標の間には相関が無いことを見つけた。今後、トレーニング効果を確認する必要が生まれた。しかし、遅延交代課題で1.5秒や3秒が待てずにレバーリリースしてしまうプレマチュア反応との間には相関があり、Izakiら(2008)の結果を情動という観点から再解釈する機会を得た。【2部位の自発神経活動の関係から神経回路機能の解析】聖マリアンナ医科大学で昨年確立した解析方法を用い、中間海馬、腹側海馬、前頭前野の3部位で同時記録し、解剖学上の回路があっても情報伝達がない状況を見つけた。つまり、その回路をON/OFFさせるスイッチの仕組みを理解することが神経回路網に基づく脳機能理解に重要であることが示唆された。【早期母仔分離モデルのおける解析】一昨年度、前頭前野-扁桃体路のパルス状の神経伝達効率について、早期分離群は探索行動と正相関、通常分離群は負相関することが判っている。この理由に扁桃体ドーパミンが強く寄与することが予想され、ドーパミンの解析を行いphasicな反応が鋭敏なことtonicな反応ではdecayしやすいことが判った(学会発表予定)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度『昨年度「大震災の影響で、複数の動物実験施設の集約化が3年前倒しとなった。この大震災と引越で半年ほど計画が遅れているが、新しい研究環境で安定した繁殖を行うことも確認でき、次年度、遅れを巻き返す目処がたった。」と書いたが、本年度、震災の直接的影響は軽減された。しかし、高架式十字迷路での計測が安定していない状況なので、作業記憶と不安行動の関係の解析が進んでいない。複数の知人に相談中。』と記載したが、安定した計測が行えるようになり、作業記憶と不安行動の関係の解析も行えた。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度「高架式十字迷路での計測を安定させて、作業記憶と不安行動の関係の解析を進めつつ、電気生理実験も進める。」と記載し、その前半を達成したので、後半を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究分担者が動物実験で解析系の高度化を図るため。 主として動物実験の費用。
|
Research Products
(7 results)