2013 Fiscal Year Annual Research Report
高度教職能力開発におけるナラティヴ・カンファレンス法の教育的意義に関する研究
Project/Area Number |
23530974
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
庄井 良信 北海道教育大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (00206260)
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Keywords | ナラティヴ・カンファレンス / 教師教育 / 高度職能開発 / 臨床教育学 / ヴィゴツキー / 参画研究 / ナラティヴ・アプローチ |
Research Abstract |
最終年度である今年度の研究活動は,以下の三つの機軸で遂行した. 一つは,学校教育現場における参画研究の事例に関するデータ整理と臨床教育学的な分析である.今年度も,蒐集した生徒指導上の実践事例や学習指導上の実践事例を,子ども理解と発達援助のエピソード記録として整理した.今年度の記録と,そのカンファレンスに関するナラティヴなリフレクションの記録は,生徒指導に関するものが13事例,学習指導に関するものが6事例(広島県で3事例,北海道で3事例)であった.これらの事例は,本研究の理論仮説構築とその応用の基盤となる基礎データとなった. 第二に,本研究の理論的な枠組みに関する国際的な視座からの考察である.今年度も,内外の研究調査を通して蒐集した理論的文献の整理を行い,ナラティヴ・カンファレンス法の背景となる理論的枠組みや方法論上の仮説を構築した.具体的には,クランディニン博士と研究協議を行い,ナラティヴ・インクワイアリーの思想と本研究の方法論との接点を探ることができた.また,ペンティ・ハッカライネン博士との研究交流をとおして,ヴィゴツキーの知的伝統とそこから発展した文化歴史的発動理論における本研究の位置づけを再検証することができた. 第三に,これらの基礎的な研究活動(臨床参画研究と国際的理論研究)に基づいて,ナラティヴ・カンファレンス法(“NCM”)の高度職能開発機能について臨床教育学的な視点から分析し,現職教師の高度な職能開発カリキュラムの創造に資する要因を抽出した.これらの研究成果は,2013年9月の日本臨床教育学会第3回年次大会の課題研究(招待講演)や,2013年11月の日本教育大学協会研究集会において発表した.また,今後は,内外の関連諸学会でも発表し,北海道教育大学大学院教育学研究科紀要『学校臨床心理学研究』等にも投稿する予定である.
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Research Products
(5 results)