2012 Fiscal Year Research-status Report
戦前・戦後東北における北方性教育運動の展開に関する調査・研究
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23530978
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
土屋 直人 岩手大学, 教育学部, 准教授 (10318751)
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Keywords | 教育実践史 / 北方性教育 / 生活綴方 / 生活指導 |
Research Abstract |
本研究では、戦前・戦後東北における北方性教育運動の展開とその実像を明らかにすることを目的とし、特に戦前以来の北方性教育運動、生活綴方教育実践が、戦後東北においていかに展開してきたのかについて実証的に調査・研究を行う。その際、戦前東北における北方性教育運動の基本的性格を明らかにし、それを戦後東北の教師たちがいかにその教育実践の中に継承し発展させようとしてきたかを検討する。 研究2年度目にあたる平成24年度においては、具体的に以下の3つの作業を進めた。 第一に、戦後において北方性教育運動を継承する実践者、特に戦後生活綴方・作文教育を実践した教師たちの著書・論文を講読・分析し実践の実態の理解を深めた。具体的には、青森:橋本誠一、嶋祐三、ほか。秋田:鈴木正之、花岡泰雲、ほか。岩手:永井庄蔵、吉田六太郎、菅原恭正、ほか。山形:剱持清一、土田茂範、ほか。 第二に、戦後の生活綴方教育実践に関する未発掘資料の収集・分析検討を行った。具体的には、秋田大学附属図書館内「北方教育資料室」、山形県国民教育研究所資料室、等に赴き、主に上記の各実践者の、未検討の第一次史資料(地方教育雑誌記事、同人誌、学級文集、等)の探索・収集を行った。 第三に、今日の現場教師たちが開催している研究会(東北民教研、東北作文の会、等)に赴き、福島の白木次男氏、青森の工藤ふみ氏らの実践報告と討議に参加した。また、特にそれらの研究会の理論的支柱の一人、青森の橋本誠一氏には、戦後東北の作文教育の歩み、橋本氏の実践の歩み等について聞き取りを行った(その成果の一端は、学会発表(後掲)において公表を行なった)。 次年度において、これらの研究を継続するとともに、東日本大震災後における三陸沿岸被災地での生活綴方教育実践についても調査を進めながら、研究成果をまとめていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、特に戦後における教師の実践に注目し、戦前東北における北方性教育を、戦後東北の教師たちがいかにその教育実践の中に継承し発展させようとしてきたかを検討するべく、主に以下の作業を行い、当初の目的をおおむね進展させることができた。 ①戦後において北方性教育運動を継承する実践者、特に戦後生活綴方・作文教育を実践した教師たちの著書・論文を講読・分析し実践の実態の理解を深めることができた。②戦後の生活綴方教育実践に関する未発掘資料の収集・分析検討を行うことができた。③今日の現場教師たちが開催している研究会(東北民教研、東北作文の会、等)に赴き、実践報告と討議に参加した。また、聞き取りを行い、その成果の一端を学会にて発表することができた。 なお、東日本大震災後における三陸沿岸被災地での生活綴方教育実践については、被災地の子ども・教師たちの実践報告が少なく、また心的外傷等の事例もあるように見受けられる場合もあり、予定通りに調査を進めることが出来なかった。作文教育研究としては慎重に行う必要があると考え、次年度継続的に、長い期間をかけて教師たちの歩みに学んでいきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、昨年度、本年度の研究を継続しながら、研究主題についての調査のまとめを行いたい。その際、上記の通り、東日本大震災後における三陸沿岸被災地での生活綴方・作文教育実践については、その調査は慎重に行う必要があり、断片的・部分的な調査結果となる可能性があるが、現場教師たちの作文教育実践の営為を一部でも調査し研究成果としてまとめることを期したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし。
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