2012 Fiscal Year Research-status Report
ワイマール期・ナチズム期ドイツの映画教育に関する思想史的研究
Project/Area Number |
23530989
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今井 康雄 東京大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (50168499)
|
Keywords | ドイツ / 映画教育 / ナチズム期 / ヴァイマール期 |
Research Abstract |
2012年10月1日から13年3月14日まで、フンボルト財団の奨学金を得てベルリン自由大学に研究員として滞在して本科研の研究テーマに集中的に取り組んだ。 1. 10月4日~6日にバーデン・バーデンで開かれたドイツ教育学会教育人間学部会の大会に参加し、技術・注意・感情――20世紀初頭ドイツにおける映画をめぐる教育学的議論(Technik, Aufmerksamkeit und Emotion: Zur paedagogischen Diskussion um den Film in Deutschland im fruehen 20. Jahrhundert)」と題して、研究成果の一部を発表した。これは以下の論集に掲載予定である。Johannes Bilstein, Matthias Winzen (Hrsg.): Technik – Pädagogik und Anthropologie. Wiesbaden 2013. 2.ドイツでの研究滞在中の研究成果を「ナチズム期ドイツの映画教育論における事物とメディア(Ding und Medium in der Filmpaedagogik unter dem Nationalsozialismus)」と題する論文にまとめドイツの教育専門学術誌Zeitschrift fuer Erziehungswissenschaftに投稿した。この論文は、同誌第16巻(2013)に掲載予定である。 3. 研究成果の一部は以下の分担執筆論文としても公刊した。今井康雄「注意――教育的介入を亢進させる虚焦点」、森田尚人/森田伸子編著『教育思想史で読む現代教育』勁草書房、2013年3月、330-357頁。この論文は,教育における「注意」の両義的な位置を示す歴史的な事例として1910~20年代ドイツの映画教育論を主題的に論じている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は、当該研究課題について国際レベルでの研究成果をもたらすことを目標として掲げたが、年度後半に集中的にテーマに取り組む機会を得られたこともあって、当初の計画以上の研究の進展を見ることができた。 具体的には、(1) ドイツ教育学会の大会で研究成果を発表した。この発表をもとに作成した論文は大会での成果をまとめた2013年刊行予定の論集に収録される予定である。(2) ドイツの教育学専門誌Zeitschrift fuer Erziehungswissenschaftに研究成果を投稿した。この論文は同誌第16巻(2013年)に掲載予定である。 さらに、 (3) 研究成果の一部は13年3月刊行の『教育思想史で読む現代教育』(森田尚人/森田伸子編、勁草書房)収録の論文としても公表した。 (論文名等は「研究業績の概要」を参照。)
|
Strategy for Future Research Activity |
「現在までの達成度」の項目で述べたとおり、第二年度において計画以上の研究の進展を見ることができた。今年度は、この研究成果をより大きな文脈に位置づけることを試みたい。 (1) 昨年度解明したヴァイマール期およびナチズム期の映画教育と映画教育論の実態を、現代ドイツ教育思想史というより大きな文脈に組み込むことを試みたい。これは、当初の研究計画において最終的な目論見として掲げていた研究成果の社会還元=一般向け著作物の刊行の実現に向けて一歩を踏みだすことでもある。 (2) 13年10月に開催予定の教育哲学会大会(於:神戸親和女子大学)での「「教えること」と「学ぶこと」 ―教育的関係の再構築―」と題するシンポジウムで申請者はパネリストとして報告を行なう予定である。この報告に本研究の成果を盛り込みたい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度においては、12年10月から13年3月までドイツにおいて研究を遂行したため、1円単位で研究費を消費しきることが困難であり、94,836円の残額が出た。この残額は最終年度において最終年度の研究費に組み込んで支出する予定である。
|
Research Products
(7 results)