2014 Fiscal Year Annual Research Report
インドネシアにおける多文化共生をめざした道徳教育カリキュラムの開発に関する研究
Project/Area Number |
23530992
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
野平 慎二 愛知教育大学, 教育実践研究科, 教授 (50243530)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 道徳教育 / 多文化共生 / カリキュラム開発 / インドネシア / 国際情報交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、インドネシアの小学校における多文化共生意識の形成をめざした道徳教育カリキュラムを開発することである。この目的のもと、平成23~25年度の間に、(1)インドネシアの小学校における道徳教育の実態調査、(2)道徳教育において形成されるべき多文化共生意識の理論的検討を行った。その結果、インドネシアでは2010年に「人格教育」という教育理念が導入されたこと、2013年から「テーマ学習(総合学習)」をベースにした「能力開発指向型カリキュラム(Kurikulum Berbasis Kompetensi)」が導入されたこと、インドネシアでは国家による一元的な文化の強制でも多文化の棲み分けでもなく、多様な文化の自律性と相互理解・相互協力が今後重要と考えられること、学校での実際の道徳教育ではいわゆる知識伝達型の授業がなお一般的であることなどが明らかになった。 これらの結果を踏まえ、最終年度である平成26年度は、多文化共生意識の形成をめざした道徳教育カリキュラムの開発と検討を行った。(1)小学校4年生を対象に、当該学年の教科書のなかから多文化共生意識の形成に関わる内容を抽出、整理するとともに、(2)現代教育哲学における「物語論」の観点から各個人や文化集団を相互に理解することを主眼とする授業実践を提案し、南タンゲラン市の研究協力校2校で事前の教員研修と授業実践を行った。授業実践後の検証では、授業を受けた子どもたちの多文化共生の意識と行動に一定の高まりが見られた。また、「知識伝達型」授業を行っている他校の子どもたちと比較しても、授業実践に一定の有効性が認められた。 今後の課題として、多文化間の相互理解と協力を促す授業実践を行うための教員の力量形成、およびそのための教員相互の授業研究ないしは研修をどのように組織し深めていくか、が挙げられる。
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Research Products
(1 results)