2012 Fiscal Year Research-status Report
持続可能な市民社会を構築する環境教育思想に関する基礎研究
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23530996
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
今村 光章 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (10300120)
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Keywords | 国際情報交換 / ドイツ / 森のようちえん |
Research Abstract |
環境教育思想の研究を進めることができた。ジルーやアップルなどの批判的教育学を手がかりに、現代社会の再生産に与していた学校教育の有り方を振り返り、新たな持続可能な社会を構築する教育の思想、および、環境教育思想史について研究し、あらたな教育目的概念を明らかにした。また、ルソー、ペスタロッチ、フレーベル、ヘルバルトなど、代表的な近代教育学思想のなかで環境とその改善がどのように結び付けられていたのかを考究した。オーストラリアの環境教育学者フィエンが『環境のための教育』で展開するような、批判理論に基づいた環境教育思想がどのような系譜と内実を持っているかについて検討した。 また、具体的なカリキュラム開発を実施した。上記のような環境思想研究および環境教育思想研究を実際のものにするためにカリキュラム開発をおこなった。持続可能な社会を構築する次世代の教育システムについて、学校教育と社会教育、および、地域社会やNGO/NPOなどでも行われる環境教育を含め、現実的なカリキュラムの開発を行っつた。具体的には、幼児期の環境教育活動である森のようちえんの研究を行うとともに、日本のNGO/NPOで行われる環境教育(環境学習活動)のプログラムを検討した。とりわけリスクに関するコミュニケーションのあり方について検討し、そのエッセンシャルミニマムを抽出しようと努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、環境教育に関する思想研究はおおむね順調に進展している。もとより、思想研究は、なかなか論文の形式にはならないため、著書や論文としてアウトプットできていないところはおおきな反省点である。しかしかがら、あちらこちらの先進的な環境教育事例を見つめなおし、持続可能な社会を構築するための教育の可能性に関して考察を進めることができた。最終年度に向けて、集大成した形で研究成果を発表するべく、アウトプットに向けた努力を行いたい。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の通り、すすめていきたい。これまでに引き続いて、イギリス:アンドリュー・ドブソンの環境的市民性(Environmental Citizenship)の育成の教育のありかたを検討する。また、教育思想のなかで環境との関係を扱った論文と著作について検討する。さらに、市民性という概念の系譜と市民性育成のための教育の思想の背景について研究するとともに、イギリスの市民性育成の教育について検討する。他方、ドイツの Transfer-21およびかつてのBLK-Programm21に関する研究を行う。 イギリスのシューマッハー・スクールの教育内容や、ドイツのTransfer-21の内容、および、オーストラリアのフィエンについては、非常に先進的な事例であるので、環境教育の指導者養成講座の内容についても検討したい。また、上記の事例以外でも先進的な事例があると思われるので、そうした事例についても調査研究を行いたい。国内のESDの先進的な事例研究も行いたい。国内のNGO/NPOや、学校においても、持続可能性に向けての環境教育に関する先進的な環境教育の事例が行われているので、その内容について検討する。とりわけ、環境教育をテーマとした教員研修を担う環境NPO等の条件について検討するため、大阪府の環境学習人材支援事業を事例として、日本全国の各地方公共団体の環境教育の指導者の養成講座の実態について調査する。 また、同時に、日本で活発に活動を続ける特定非営利活動法人ひらかた環境ネットワーク会議や市民で環境教育活動を行うLINKS、キープ協会の「もりのようちえん」などの活動についても調査検討する
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
文献などを購入する200千円を有効に使いたい。 また、国内外の出張費として国内の諸機関を訪問するとともに、韓国とドイツへの出張を予定しているため、その旅費として、450千円を使いたい。さらに、人件費として、残り150千円程度を使用する予定である。
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