2013 Fiscal Year Research-status Report
持続可能な市民社会を構築する環境教育思想に関する基礎研究
Project/Area Number |
23530996
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
今村 光章 岐阜大学, 教育学部, 教授 (10300120)
|
Keywords | 教育学 / 持続可能性 / 森のようちえん |
Research Abstract |
環境教育思想の研究として、ジルーやアップルなどの批判的教育学を手がかりに、現代社会の再生産に与していた学校教育の有り方を振り返り、新たな持続可能な社会を構築する教育の思想、および、環境教育思想史について研究し、あらたな教育目的概念を明らかにしてきた。 また、ルソー、ペスタロッチ、フレーベル、ヘルバルトなど、代表的な近代教育学思想のなかで環境とその改善がどのように結び付けられていたのかを考究した。さらには、オーストラリアの環境教育学者フィエンが『環境のための教育』で展開するような、批判理論に基づいた環境教育思想がどのような系譜と内実を持っているかについて検討している。 持続可能な社会における教育に関して、マイケル・ボネットの教育哲学的考察について研究を行った。その結果、再生産システムにおける学校教育を乗り越え、新たな持続可能な文化と伝統を継承する教育が必要であることが明らかになった。 その手がかりが、現在の森のようちえんにある。森のようちえんでは、自主的に教師たちが教育内容を決定し、自然とともに生きている。そのため、森のようちえんの教育のシステムを考察し、その学習内容をつぶさに分析することで、環境教育の新たな地平が開けることが明らかになった。また具体的に、自然学校としての森のようちえんを研究をして、その成果を論文にまとめた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学会誌1本、紀要1本、などで、成果を発表できた。また、具体的に論文にならない研究成果も多々あるが、研究に関する積み重ねができている。それとは別に、この研究成果を単著として世に問う準備も進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの計画の通り、持続可能な市民社会を構築する環境教育思想に関して、教育哲学的アプローチから基礎文献の研究を行い、①環境問題解決のための民主的で公正な手続きに参与できるような人格的かつ知性的に成熟した市民性の基礎を育成し、②リスク・コミュニケーションや科学コミュニケーションなどの環境に関するコミュニケーションを実践できる基礎的な知識・態度・技法を身につけ、③持続可能な社会の構築に参加することができるような市民と市民性を育成する環境教育のありかたについて哲学的かつ実証的に研究し、カリキュラム開発をする上での基礎理論を構築する。今後は、より具体的な教育課題に取り組むことになる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大きな理由は、海外渡航を25年度から26年度に変更したためである。その他はほぼ予定通りである。 26年度に、25年度行えなかった海外渡航をする予定である。その他はほぼ予定通りである。
|