2012 Fiscal Year Research-status Report
養護教諭志望学生の「省察力」育成を目指した学内実習の授業モデル開発
Project/Area Number |
23531003
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
後藤 ひとみ 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (20186894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 ふくみ 茨城大学, 教育学部, 准教授 (30336193)
松田 芳子 熊本大学, 教育学部, 教授 (70209576)
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Keywords | シンガポール |
Research Abstract |
本研究は、養護教諭を目指す学生たちが卒後に教育現場で発揮することのできる「確実な実践力」の育成を目的として、学内で行う実習科目(学内実習)を設定し、疑似体験等を通して「省察力」を身に付けていくことができる授業モデルを開発するものである。 平成23年度は、学内実習(養護活動実習など)の授業記録の収集に努め、養護教諭の実践力や省察力の検討に役立つような教師教育の研究成果を収集した。平成24年度は、授業記録の充実と授業分析の深化、「省察力」育成に関する情報収集のための海外渡航を主たる計画として進めた。具体的には下記のとおりである。 1)授業を記録し分析するためのデジタルVTRカメラ等の機器を購入し、研究メンバーぞれぞれが担当する学内実習の収録を行った。その一部は、学生アルバイトによって文字資料として整理し、映像理解の補助資料とした。 2)「省察力」育成のプログラムに活用できる手法を探るために、まず、慶應義塾大学を訪問してケースメソッド教育の説明を受けた。結果として、ケースメソッドは問題発見力や問題の構造化能力、判断力、意志決定能力などを養成するものであることから、いくつかのテーマでは使用できるものの、学内実習全体を支える教育手法としては適切ではないことがわかった。そこで、体験と振り返りに焦点をあてて学ぶアクションラーニングに着目し、日本アクションラーニング協会主催の講習に参加したところ、アクションラーニングを応用した専門学校での教育実践について知ることができた。 3)シンガポールでは「省察力」を意識した教育プログラムが展開されているとの情報を得て、シンガポールNIEの訪問とその卒業生が校長を務める小学校を訪問した。教育実習を含めた教員養成プログラムの講話を聞き、リフレクション・サイクルや各学習段階での評価基準に関する貴重な資料が得られ、有意義な訪問となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度は予定通りの取り組みができずに課題を残したが、それらを含めて今年度の計画はおおむね取り組むことができたので、このように評価した。 まず、デジタルVTRカメラ等の機器を購入して授業記録の環境を整備し、各自の大学で開講している学内実習(養護活動実習など)を収録した。また、「省察力」育成のプログラムに活用できる手法の探究に努め、ケースメソッド教育とアクションラーニングの研修を行った。その結果、前記の「研究実績の概要」で述べたとおり、ケースメソッド及びアクションラーニングの特性を知ることができ、学内実習への適用のヒントが得られた。 さらに、シンガポールのNIE訪問では、教員養成プログラムにおけるリフレクション・サイクルなどの貴重な資料を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は研究の最終年度であるため、研究課題に掲げたテーマの達成にむけて努めていく。達成すべきテーマのポイントは、「省察力育成」を目指した「学内実習の授業モデルづくり」であることから、下記のように研究を進めていきたい。 1)シンガポールNIEで入手した資料を和訳し、リフレクション・サイクルに基づく教員養成のプログラムを整理する。その際、特に教育実習などの実地での学習に着目し、我々が実施してきた学内実習への適用を検討する。 2)これまでに実施してきた各自の学内実習の授業目標やシラバスを照合させ、毎回の授業における達成目標及び実習方法(教育方法)の再整理を行って、前期の授業で活用できるようなリフレクションに特化した評価の観点を表示する。 3)シンガポールNIEにおける教員養成の具体について学ぶため、再度の訪問を行い、教授の授業風景や教育実習の様子などを観察させていただく。 4)国内における既発表の研究論文から、省察力やシンガポールの教員養成について論述しているものを選定し、その内容を参考にして、省察力に着目した授業モデル構想の妥当性を検討する。合わせて、日本教育大学協会や日本教師教育学会などの教師教育をテーマとした会場での研究発表を行い、ご意見をいただく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前記の「今後の研究の推進方策」で示したような内容であることから、相互の研究打ち合わせ旅費やシンガポールへの渡航費用、学会への参加費用等が主たる使用となる。 中でも、シンガポールへの渡航はより具体的な内容理解のために欠かせないと考えるので、この旅費に使用し、その他は国内の旅費として使用する。 これらの旅費以外には、授業記録保存のためのDVDと関連ソフトを予定している。
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Research Products
(7 results)