2013 Fiscal Year Annual Research Report
「褒め方・叱り方のタクト」 -教育力育成と信頼の場の創出に関する実証研究
Project/Area Number |
23531004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 晶子 京都大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (10231375)
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Keywords | タクト / リーダーシップ / パフォーマンス / ミメーシス / 歴史人類学 / 教育力 / 場 / 経験 |
Research Abstract |
本研究はコミュニケーションにおけるタクトの働きについて、言語・身体・パフォーマンスの観点から理論的に分析するとともに、教育力育成と信頼の場の創出に資するようなタクト養成プログラムを開発することを目指して行われた。 (1)理論研究の実績としては、タクトの働きについてはこれまで、教育者側の教育状況の理解や判断、行動の能力という観点からのみ分析されてきたが、教育者と教育される側との相互作用がなされる「場」の創出という観点から分析することの必要性について、東洋的な思想も取り入れた分析の必要について明らかにした。東洋的なわざの修練では、「経験の地平拡大としての熟達過程」が重要視されていることが明らかとなった。 (2) 事例研究では、地域の子育て支援の関係者から意見聴取を行った。また、「振り返り」活動を通した自己分析のまなざしの形成について、母親の言語活動を中心に、子育てへの思いや日常の子どもとのコミュニケーションについて反芻する過程に注目し分析した。 (3)タクト養成については、米国・国際戦略研究所CSISにおけるリーダーシップ養成プログラムなど既存のプログラムを検証した。また、幼稚園児および小学生をもつ母親への日本での調査をもとに、母親が子どもとのコミュニケーションを日誌形式で記録する「振り返り活動」に注目したタクト養成プログラムを考案した。 (4)場の創出と言語活動の関係についてドイツの歴史人類学の分野で研究の進んでいる、「儀礼的行動におけるパフォーマンスの模倣(ミメーシス)としての学習過程について、日独国際ワークショップを実施した。タクトが家族とのコミュニケーションをはじめ日常の儀礼的行動のなかでどのように養成されていくかを中心に、歴史人類学研究的手法による研究成果について討議し、タクト養成プログラムの開発にさらに検討を加えた。
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[Journal Article] Takt2013
Author(s)
Shoko Suzuki
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Journal Title
Christooph Wulf/Joerg Zirfas(Hrsg.) Handbuch Paedagogische Anthropologie
Volume: Springer VS, Wiesbaden
Pages: 295-301
Peer Reviewed
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