2012 Fiscal Year Research-status Report
<他>文化理解のための政治教育:アメリカ哲学をめぐる文化横断的対話研究
Project/Area Number |
23531006
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
齋藤 直子 京都大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (20334253)
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Keywords | アメリカ哲学 / アメリカ超越主義 / プラグマティズム / 翻訳としての哲学 / <他>文化理解 / スタンリー・カベル / 哲学の文化横断的対話 / 生き方としての民主主義 |
Research Abstract |
海外共同研究者ポール・スタンディッシュ氏との国際的連携を軸に、以下の国際的企画を推進・達成し、課題研究の総合目標達成に向けて飛躍的に前進し、単著『アメリカ哲学の夜明け』の執筆計画も大きく前進した。(1)同氏との英語共著Stanley Cavell and the Education of Grownupsを出版。(2)同氏との英語共編著Education and the Kyoto School of Philosophy: Pedagogy for Human Transformationを出版。(3)同氏の単著邦訳『自己を超えて:ウィトゲンシュタイン、ハイデガー、レヴィナスと言語の限界』(2012)の書評シンポジウム二つ開催、同氏を京都大学に招聘し国際コロキアムを開催。この成果をもとに日本語の編著『哲学のサブジェクト転換』、および翻訳書『過剰な思考』の出版計画が新たに展開。(4)日本ソロー学会にて当該課題に関わる招待講演。(5)ソルボンヌ大学哲学部で開催されたカベル哲学についての国際コロキアムにて招待講演。 (6)アメリカ哲学促進学会およびアメリカ哲学教育学会で審査受理英語単著論文を発表。(7)スタンディッシュ氏との英語共同編著Stanely Cavell and the Thought of Other Culturesの編集、執筆が促進。(8)同氏との共同企画としてアメリカ哲学の研究者ヒラリー・パトナム氏のインタビューをハーバード大学にて二度行い、国際学術誌Journal of Philosophy of Educationへの出版が決定。(9)同氏との日本語共同編著『翻訳のさなかにある社会正義』(東京大学出版会)が平成25年度出版予定、英語版出版についても企画が進行。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画に若干の変更および未達成項目はあったものの、「<他>文化理解のための政治教育:アメリカ哲学をめぐる文化横断的対話研究」の当初計画の根幹部分が大きく前進し、その達成をもとに当初予測していなかった複数の出版企画の展開があり、来年度に向けて研究が大幅に進捗すると同時に、アメリカ哲学を軸に国際的対話のネットワーク形成が躍進した。(1) 平成23年3月にアメリカ哲学促進学会で最優秀賞を受賞した論文が国際的な哲学の学術誌Pluralistに出版された。(2)アメリカ哲学促進学会、アメリカ教育哲学会での議論をもとに海外共同研究者スタンディッシュ氏および、アメリカの教育哲学者2名とともにアメリカ哲学とポスト構造主義の関係をめぐるパネル討議の企画が展開した。(3)アメリカ哲学推進学会での業績を認められ、平成25年にギリシャで開催される世界哲学者会議のパネルに招聘されることになった。(4)今年度の業績を認められ単著『アメリカ哲学の夜明け』英語版についてアメリカの出版社との出版計画が展開した。(5)『カベルと<他>文化についての思考』の編集、執筆が順調に進展し、完成原稿を出版社に来年度初旬に提出できる見込みとなった。(6) スタンディッシュ氏の単著邦訳『自己を超えて』(2012)をめぐる企画として日本哲学会シンポジウム公募企画が受諾され平成25年5月に発表予定、また日本社会学会大会における招聘講演が決定。さらにイギリスと日本の哲学者、教育哲学者の対話のフォーラムとして、新たな編著『哲学のサブジェクト転換』のプロポーザルが東京大学出版局において出版検討されることになった。 (7)スタンディッシュ氏の二つ目の単著邦訳『過剰な思考』の出版プロジェクトが、当該課題研究との関連、発展として誕生した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の達成に基づき、また当初計画を超える新たな展開を促進させるべく、海外共同研究者スタンディッシュ氏との国際連携を軸に、最終年度の総括を行う。より具体的には以下の個別企画を相互に連関させて総括につなげる。(1)日本語単著『アメリカ哲学の夜明け』の原稿完成、および英語版のプロポーザル作成、執筆進行。(2)スタンディッシュ氏との共著Democracy and Education from Dewey to Cavellの完成、(3)同氏との共編著『翻訳のさなかにある社会正義』および、Stanley Cavell and the Thought of Other Culturesの編集完成、原稿提出、(4)編著『哲学のサブジェクト転換』企画を、日本哲学会や日本社会学会、教育思想史学会でのパネルや講演を通じて前進させる。(5)スタンディッシュ氏の単著翻訳『過剰な思考』の企画を推進させる。(6)課題研究の総括として、(i)世界哲学者会議、(ii)イギリス教育哲学会、(iii)アメリカ哲学促進学会、(iv)アメリカ教育哲学会、の諸学会にて英語論文を発表予定。((ii)~(iv)については審査受理された場合について。)(6)スタンディッシュ氏を日本に招聘し教育思想史学会で「哲学のサブジェクト転換」をめぐる異文化間対話のパネルを企画予定、(7)ロンドン大学教育研究所において平成25年6月にStanley Cavell and the Education of Grownups(2012)の出版記念会議を開催、フランス、イギリスの哲学者、教育哲学者を交えてカベル哲学研究の異文化間対話の国際ネットワークを広げる予定。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最終年度の総括として、上記推進方策を推進するべく、国際交流ネットワーク構築、および国際学会での発表、講演を中心として、そのために研究費を使用する。より具体的には、(1)平成25年6月Stanley Cavell and the Education of Grownupsの出版記念シンポジウムをロンドン大学教育研究所において開催するための開催関連経費および海外旅費。(2)平成25年8月にギリシャで開催される、世界哲学者会議において英語論文“Comparative philosophy as education: Pragmatism’s Eastern strains”を発表するための海外旅費。(3)平成26年年3月、アメリカ教育哲学会にてアメリカ哲学とポスト構造主義の関係を議論するパネルを、アメリカ、イギリスの教育哲学者と企画、発表するための海外旅費。(4)アメリカ哲学促進学会および/もしくはイギリス教育哲学会において課題研究総括の英語論文を発表するための海外旅費。(5)英語の単著、編著を出版するために必要な英文校閲費。(6)海外共同研究者ポール・スタンディッシュ氏を日本に招聘し、国際コロキアム、講演会を開催するための経費の一部。
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