2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23531007
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
相澤 伸幸 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (20331259)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 教育学 / 教育哲学 / ニーチェ / ニヒリズム / 人間形成 |
Research Abstract |
本「ニヒリズムの積極的肯定に関する教育学的研究」では、現代の教育目的の方向性を「ニヒリズムの克服に向けた教育的志向」として捉えた上で、教育学の観点からニヒリズムに関する考察を理論的に行い、同時にわが国の学校教育におけるニヒリズム克服と捉えられる学習指導を分析・検討することで、ニヒリズムを肯定的に捉えるための教育学的方策の新たな開発および提案を行うことを目的とする。 この目的に沿った研究計画において、初年度の平成23年度は、課題1「教育思想の文脈においてニヒリズムを位置づける」のうち、時間がかかることが予想される(a)「ニーチェにおけるニヒリズムに関する思想を考察する」から取り組んだ。この課題を達成するために、まずはニーチェに関する最近の成果の調査とその精読を開始した。 加えて、課題2「日本やドイツの学校教育におけるニヒリズム克服についての状況調査」のうち、(a)「日本の学校教育において、生きる力や自己肯定感を高めるための教育内容を調査する」の状況調査について、東京都とくに世田谷区の『教科「日本語」哲学』の調査から着手し、本書の文献的な精査や、本書を用いた実際の授業の様子を見学したり、教育委員会の担当者や学校長などへのインタビューを行ったりした。 この2つの計画について、現在のところニーチェの研究史に関する文献の書評としてまとめるにとどまっているが、今後はさらなる調査の推進と、その分析成果をまとめる作業に取り組みたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、研究目的を達成するために、3つの課題をもうけている。そのうちの課題1と課題2に計画通り着手できたので、初年度における進捗状況としてはおおむね順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、課題1については引き続き(a)の問題に対処しながら、(b)「これまでの教育目的論の問題点をニヒリズム肯定の観点から再構築する」に関しても着手する。また課題2については引き続き(a)の問題に対処しながら、日本以外とくにドイツの学校教育における状況を調査したいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は、震災等の影響により出張等が計画通りできなかったり、当初購入を予定していた物品が入手困難になるなどしたために、研究費の使用が年度末にずれ込んむ事態になってしまった。しかし、平成24年度は状況が改善しつつあるので、平成23年度の使用計画も合わせて、計画通りに執行できると考えている。
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