2011 Fiscal Year Research-status Report
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23531010
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
坂越 正樹 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (80144781)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 教育学 / 教員養成 / 日独比較 |
Research Abstract |
平成23年度は日本国内の大学(総合大学、教員養成大学、国公立大学、私立大学)における教育学教育の実情を訪問調査と文献資料調査によって分析した。総合大学における社会科学ないし人文学としての教育学一般理論教育と教員養成大学における教職、学校教育実践に重点化した教育学教育の特質が確認できた。とりわけ教員養成大学及び学科では、到達目標としての教員養成スタンダードの整備が進んでおり、新規に導入された「教職実践演習」授業実施に向けての準備がなされていた。 また並行して、大学で使用される「教育学」テキストを収集し、特徴を分析した。従来型のテキストで教育事象一般を概説的に紹介したものがある一方、今日的な教育課題に対応できる教員能力を育てようとする意図が明瞭なものも見いだされた。 研究の成果の一端を、平成23年6月27,28日、北京師範大学の招待講演において「日本の高等教育改革-教員養成と教育学-」と題して報告した。また、平成24年1月26,27日、京都大学高等教育開発研究センター開催のセミナー、同3月4日、金沢大学大学教育研修セミナーにおいて報告し、大学教育関係者と意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究目的とする日本国内大学における教育学教育の実情調査は、国立総合大学で教員養成を主目的としない教育学部、同じく国立総合大学で教員の計画養成を主目的とする学部、また私学総合大学、国立教員養成単科大学といった主要で特徴的な類型に関して調査ができた。 その特質に関しても、提供を受けた「履修の手引き」「シラバス」等の資料に基づいて、開放制教員免許の学部・学科組織におけるアラカルト型の授業開設と履修方法、計画的教員養成の学部・学科組織における定食メニュー型の授業提供と履修指導として、基本的な区分を明らかにすることができた。 また国内大学で使用されている「教育学」テキストを収集し、その基本的特質を現代課題型、概論総覧型として整理した。
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Strategy for Future Research Activity |
日本の大学における教育学教育に関する調査を継続するとともに、ドイツの大学で教育学教育がどのように実施されているのか、ヨーロッパ高等教育改革の中での教育学教育の課題について調査し考察する。特に、教員養成教育に関しては、日本の大学の教員養成スタンダードとドイツ大学の教職コンピテンシーとを比較分析する計画である。 ドイツ大学の調査については、ゲッティンゲン大学カール・ノイマン教授、ブラウンシュヴァイク大学ハイデマリー・ケムニッツ教授ほかの支援を受ける。日本の大学については、すでに研究協力関係にある兵庫教育大学、福岡教育大学、京都大学、岡山大学等の教育学研究者ネットワークを活用して、その今日的傾向性を抽出するための支援を受ける予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「旅費」として、日独の大学調査に必要とする国内旅費及び外国出張旅費を使用する。「物品費」「設備備品費」として、教育学教育及び教員養成教育に関する日独の図書文献購入費を使用する。「物品費」「消耗品費」として、ファイル等の文具など消耗品購入費を使用する。「謝金等」として、収集した資料の整理のために研究支援要員に一部業務委託をする。「その他」として、国内及びドイツとの通信、資料送付等のための経費を使用する。
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