2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23531010
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
坂越 正樹 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (80144781)
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Keywords | 教育学 / 教員養成 / ドイツ / 大学教育 |
Research Abstract |
最終年度平成25年は国内大学の教員養成カリキュラム改革動向に関する調査を継続するとともに、平成24年度に実施したドイツ大学(ライプツィヒ大学、オルデンブルク大学)の教育学教育調査の結果を分析し、比較考察した。 ライプツィヒ大学ディーターシュルツ教授からの聞き取り調査の結果、以下のような状況が確認できた。「教師の専門職としての行為は、型にはまった機械的なやり方を反復するだけでは築けない。また一方で、科学性が絶対不可欠な前提でもない。科学性は教師の専門職性にとって構成的なものである。ドイツでは1960年代以来教師教育改革の様々な試みの中で「職業実践との関連」が中心的要素に置かれてきた。しかし実際には理念型的な行為構成と実用主義的な行為結果が対立し、理論と実践の首尾一貫した関係構造が確立されたとは言えない状態が続いている。近年、教師の職業実践が非常に高い尊厳と専門性を持つものであり、それを大学で学びうるのであれば、職業実践は関連専門分野における授業での学修と同等かつ対等の要素として位置づけられなければならないとされ、その新しい学びの次元を「学校実践的学修」として重視している。つまり、学修を通して実践に理論的含意を持たせ、実践を通して理論に実践的含意を持たせることをめざしている。」こうして大学と実習校の往還、連携授業が組み立てられている。 日本の大学での教育学教育は、人文社会科学としての「教育学」と教員養成のための「学校教育学」との二分化がますます進んでいる。総合研究大学における教育学研究と教育は、哲学教育、歴史学教育、あるいは社会学、心理学教育と同等の位置を得ることをめざし、教員養成学部、大学における教育学教育は、教員コンピテンシーあるいは教職スタンダードの整備とあいまって、ますます機能化、実用化とともに資質能力の可視化が進んでいる。
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