2012 Fiscal Year Research-status Report
後期中等教育段階の学習成果の評価と認定の方法に関する比較研究
Project/Area Number |
23531016
|
Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
矢野 裕俊 武庫川女子大学, 文学部, 教授 (80182393)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 敦 大阪市立大学, 付置研究所, 教授 (60335776)
|
Keywords | 中等教育修了資格 / 国際バカロレア / 中等教育カリキュラム / 学習成果 / 比較研究 |
Research Abstract |
平成24年度は文献資料の収集を図るとともに、国内調査、外国調査および研究会を行った。 国内調査としては、関西学院千里国際学園を訪問し、教頭をはじめ職員から、同学園の教育方針や国際バカロレアのディプロマ・プログラムの実際について聞き取りを行い、あわせて授業の実際の様子を見学した。 国外調査としては、9月に韓国を訪問し、韓国における青少年教育、とりわけ就労につながる学校外教育訓練の実際および市民活動によって設立されたオルタナティブ教育のための学校を視察した。それにより韓国における後期中等教育段階の教育的課題と実際の対応例を知ることができた。また、3月には香港にある二つのインタナショナルスクールを訪問し、国際バカロレア・カリキュラムの特色、とりわけCAS(創造性、活動、奉仕)と呼ばれるカリキュラムのコアについてその実情を知ることができた。同時に、香港の中等教育における国際的な教育への関心の高まりを見聞した。 2度にわたって行った研究会では、国際バカロレア・ディプロマプログラムの現状についての認識の共有化を図るとともに、シンガポールにおける中等教育修了資格の状況に注目し、それがもつ今日的意義をめぐり意見交換を行った。また、近年展開されているフューチャー・スクール事業の中で、ICTを駆使した新しい学びの創造にも注目し、中等教育段階で進行する学習の変革について具体例をとおして検討した。 これらをとおして、本研究でめざす中等教育段階の学習成果の認定と評価をめぐる諸外国の動向の一端を知り、比較研究のための重要な知見を得ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献資料収集とその検討、国外調査および国内調査の実施,共同研究者との研究会による情報と意見の交換を行い、本研究においてめざしている後期中等教育段階での学習成果の評価と認定に関する基礎的なデータをはじめ、実際の事例およびそれと関連する教育状況に関する知見を得ることができた。 国内調査としては、国際バカロレアのディプロマ・プログラム採用校の訪問調査、国外調査としては、二つの国の実情調査を行い、後期中等教育の出口である就職への支援のための教育とともに、国際化する社会に対応した教育のあり方を模索する実例を知ることができた。 また、中等教育修了資格を賦与する制度の実際についても、国際バカロレアとともに、フランス、スウェーデン、シンガポール、香港などの現状についてすでに一定の知見を集積しており、次年度の追加的・補足的調査によって本研究の目的を達成するのに必要なデータをそろえることができると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
共同研究者との意見交換を重視しつつ、文献資料調査、国内調査により収集した資料・データの分析をすすめるとともに、国外調査の追加的実施(シンガポールを予定)を行い、OECD加盟国のいくつか及び東アジア諸国・地域の後期中等教育段階における教育プログラムの新動向・資格試験制度に関するデータの整理と分析を行う。それにより、学習成果の評価・認定をめぐる 二つ(ないしそのバリエーション)のアプローチの比較研究と新しいアプローチの可能性の検討を行う。年度後半には、研究成果をとりまとめ、最終的には研究成 果報告書を冊子のかたちで発行して研究成果の普及に努める。 それらをふまえて、後期中等教育段階の学習成果の評価と認定をめぐるよりよいあり方を実現するための条件や検討課題を,論点を浮かび上がらせる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の国外調査に従事する人員が研究代表者のみとなり、旅費の使用が計画よりも少なくなったことと、研究補助のための謝金の使用が少額にとどまったために、次年度に使用する予定の研究費が生じた。次年度使用額130,131円は平成25年度に請求する研究費と合わせて使用することとし、そのうち物品費に30,131円を充当し、合計80,131円の物品費を文献資料の補足的な購入と国外調査に係る消耗品の購入に充てる。また、旅費には追加的に100,000円を充当し、合計旅費を450,000円として、シンガポールへの追加的調査(2名を予定)および補足的な国内調査等に充てる。 また、次年度は本研究の最終年度であり、研究成果のとりまとめを行い、報告書を印刷・公表する予定であるため、そのための印刷費を含む費目(その他)に300,000円を充てる予定である。
|
Research Products
(5 results)