2013 Fiscal Year Annual Research Report
1930年代~1950年代日本の教育学の戦争責任と戦後責任に関する歴史的研究
Project/Area Number |
23531018
|
Research Institution | Hachinohe Institute of Technology |
Principal Investigator |
松浦 勉 八戸工業大学, 工学部, 教授 (30382584)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 広美 東京家政学院大学, 現代生活学部, 教授 (20205959)
一盛 真 鳥取大学, 地域学部, 准教授 (90324996)
|
Keywords | 教育の戦争責任 / 戦後責任 / 植民地主義 / 戦後教育学 / 戦争体験の思想化 |
Research Abstract |
最終年度は、①アジア・太平洋戦争下の、日本の講壇教育学の戦争教育学としての相貌を明らかにするとともに、②戦中から戦後にかけての教育科学研究会の転回と再建、③戦前と戦後をとおして一貫して周辺化された沖縄問題に関する成果を発表した。①は、12年度の成果をふまえて、有能な中堅と目されていた海後宗臣の「大東亜共栄圏」の教育計画案=「化育所」構想とその論理を、②も同様に、戦後の再建時に委員長に就任する勝田守一の教育科学の形成過程とその特徴を検討した。③は、日本国憲法と沖縄の関係および昨年の政府主催の4・28式典の意味を沖縄から照射した成果となる。 科研費研究の初年度の直前に、原発震災を含む3・11の複合大震災がおこり、期せずして研究の意義と重要性が増すことになった。教育と教育学の戦争協力とその戦争責任を含めて、日本の未決の戦争責任の追究・追及と戦後補償の不履行、これらにかかわる戦後責任の問題は、戦後70年を迎えようとしている日本の社会では、単なる過去の問題ではなく、現在進行中の原発震災にともなう責任と保障にも直接かかわる問題となっている。同様にして、全面的な検討はこれからの課題であるが、沖縄や水俣問題が、未決の戦争責任と戦後補償の不履行に遠因を持つ教育問題として追究されている。 この3年間を通して、理論と実証の二つの面で、両サイドの「歴史修正主義」やポストモダンの「戦後教育学」批判と対峙するとともに、原発震災をめぐる不処罰と原発再稼働の政策動向とそれに追従する国内世論の帰趨を前にして、新たな大きな教育課題を発見することができた。沖縄と水俣の問題である。 なお、3年間の主な研究成果を、本論209ページ、4版の研究成果報告書にまとめ、配布とた。資料として歴史の証言の記録と座談会の記録も計3点収載した。
|
Research Products
(6 results)