2015 Fiscal Year Research-status Report
カナダにおける「開かれた教育行政」及び「開かれた学校づくり」に関する調査研究
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23531037
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
平田 淳 弘前大学, 教育学部, 准教授 (90361005)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2017-03-31
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Keywords | 開かれた学校づくり / 開かれた教育行政 / エンパワーメント / 学校協議会 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、まず前年度行ったカナダ・サスカチュワン州調査のまとめを行い、これを論文化した。並行して6月にカナダ・マニトバ州ウィニペグ市において、約1週間滞在して現地調査を行った。当地では、州教育省職員数名や教育委員会の教育長、校長数名、保護者協議会の保護者委員数名、マニトバ州保護者協議会協会職員、マニトバ州スクールリーダー協会職員等と個別あるいはグループセッティングでのインタビュー調査を行い、またいくつかの保護者協議会会議を観察調査した。マニトバ州においては、カナダの他の諸州と同様に、地方教育行政は日本で言うところの教育委員会類似の組織が担っている。教育委員の選任は公選制を採用しており、制度上保護者や地域住民の意見を教育行政に直接反映させることはできるようになっている。 保護者の学校運営に関しては、大きく分けて4種類の形態があるが、法的根拠に基づき設置され、一定の権限と責任を伴って運営されているのは「学校リーダーシップのための助言委員会」である。それ以外の形態においても、何らかの形で保護者の意見を聴取し、学校運営に反映させることが求められている。 マニトバ州の保護者協議会は、保護者による学校運営参加は子どもの学力向上につながるという想定の下制度化されており、教育行政担当者にはそうした意識が強く見受けられた。また、その他の調査協力者も、保護者参加の重要性については異口同音に強調していた。他方で、他の州でも同様の傾向が見られたが、「何をどう教えるか」といった、教育の実態的部分への参加については、多くの場合困難がみられるようであった。また、児童生徒の学校運営参加はあまり積極的には行われていなかった。児童生徒の意見をどのようにして聴取し、学校運営に反映させるかについては、個々の教員が日常の教育活動や児童生徒とのコミュニケーションの中から汲み取るということであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
イスラム過激派組織ISその他の過激派による国際情勢不安定化により、カナダ渡航を延期せざるを得ない状況が生じたため、一定程度の遅れが生じている。これまでいくつかの州・都市における「開かれた教育行政」や「開かれた学校づくり」の制度と実態について見てきた。当該年度は本研究の最終年度にあたるが、上述の理由によりカナダ調査を延期したことがあるため、一年間研究期間の延長を申請し、承認されたところである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は承認された本研究機関の延期により、追加調査と本研究のまとめを行う。
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Causes of Carryover |
イスラム過激派組織ISその他の過激派による国際情勢の不安定化により、前年度予定していたカナダ調査を延期せざるを得なくなり、その分研究と予算の執行が後ろ倒しになったため。そのため、本研究期間に関する一年間の延長申請を行い、承認された。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
承認された一年間の延長期間中に、追加調査と本研究のまとめを行う。
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