2013 Fiscal Year Annual Research Report
韓国軍事独裁政権下での夜学における民衆の学習・教育運動に関する研究
Project/Area Number |
23531040
|
Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
浅野 かおる 福島大学, 行政政策学類, 教授 (10282253)
|
Keywords | 夜学 / 社会教育 / 韓国 |
Research Abstract |
平成25年度は、最終年度として、平成23年度、平成24年度の研究成果を整理し、また研究成果とその観点をさらに深めながら、1970年代から1980年代の夜学の研究において以下のような検討を進めた。第一に、本研究では1970年代から1980年代の夜学を対象としているが、夜学を通史的に把握することも不可欠であるため、通史的な把握をするとともに通史的に見た場合の基本的な枠組みを検討した。その成果の一つが、「韓国における『夜学』の歴史とその意義について-『夜学の実態および支援方策研究』の一部翻訳を通して-」(『行政社会論集』第26巻第1号)である。第二に、キリスト教教育運動における夜学の検討である。「伝道」から「宣教」への転換により、キリスト教団体が産業宣教、都市(貧民)宣教などとして行った夜学では、労働問題や地域社会の問題などをとりあげていく。無許可バラック集住地区での貧民宣教の場合、住民を組織化して健康問題、生活問題、住民教育などが取り組まれ、その中で夜学が行なわれることもあった。これらの研究成果の一部に先の2年間の研究成果も加えて、「韓国社会運動における『夜学』-1970~1980年代-」と題して学会発表を行った(日本社会教育学会第60回研究大会)。第三に、夜学にみられる教育論として民衆教育(運動)論の検討を行った。これは前年度とりあげた「意識化」概念と関連するものである。当時、民衆教育を上(知識人)からの政治意識化とした流れに対しては、後に韓国の社会教育研究者よって批判され、民衆教育は民衆の主体的自己覚醒運動、下からの地域社会を中心とした学習共同体での意思疎通的相互作用を通して政治的問題が現れ、実践と連結されるものでなければならないと提起された。
|