2013 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける性教育の特徴とそれをふまえた性教育教材開発および授業研究
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23531042
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
田代 美江子 埼玉大学, 教育学部, 教授 (40297049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
艮 香織 宇都宮大学, 教育学部, 准教授 (10459224)
渡辺 大輔 都留文科大学, 文学部, 講師 (00468224)
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Keywords | 包括的性教育 / ジェンダー / セクシュアリティ / 東アジア / 性教育国際指針 / 性教育実践 |
Research Abstract |
成果の第1は、韓国、台湾、中国への現地調査を踏まえ、それらの国々における性教育の制度的基盤および課題を明らかにできたことである。韓国では女性政策がその基盤にあり、また、保健教師による働きかけによって、健康教育の中に性教育を位置づけようとする動きが積極的に行われている。台湾では、1970年代から性教育への取り組みが見られ、台湾性教育協会・杏陵基金会が先導し、教師教育も担っている。また、2004年に制定された「性別平等教育法」が基盤となり「性の多様性」も視野に入れられている。台湾では指導者育成にも力が入れられており、学校現場での実践も進展している。中国では、「青春期教育」として性教育が進められており、2006年には、四川成都工業学院内に四川省教育庁から認められる形で性教育研究センターが設置されている。そこでは、性教育研究、教材開発などがおこなわれ、今後の中国における性教育の発展を担う部署となっている。中国においては、実践レベルの課題は多いが、制度的基盤は準備されつつあることが明らかになった。 第2の成果は、第1の成果を踏まえ、日本の性教育の現状を、国際的な視点および東アジアの中で相対化することができた。この成果を踏まえ、ユネスコによる『性教育国際指針』および学習指導要領を踏まえた日本における包括的性教育の枠組みを作成した。これによって、性教育のイメージをより豊かにできたと考えている。 第3の成果は、第1、第2の成果を授業研究、教材開発に結びつけ、実際に国立大学附属中学校の養護教諭、公立中学校の保健体育の教員と共同で、中学校の性教育実践づくりを行ったことである。現在の学校教育において確保可能な1学年2時間、3学年で合計6時間の性教育の構成を検討し、授業案づくり、実践研究、生徒へのインタビュー、協力教師への調査などを実施することで、具体的な性教育実践づくりを行ってきた。
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