2011 Fiscal Year Research-status Report
国立大学法人の「性差保健」研究による地域貢献のあり方についての省察的実践研究
Project/Area Number |
23531050
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
西原 亜矢子 新潟大学, 医歯学系, 特任助教 (70436731)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 社会教育 / 学習組織論 |
Research Abstract |
本研究の目的は、国立大学法人保健学研究科に地域貢献拠点として創設された「GSH研究実践センター」(以下、センター)の現行の事業展開を、事業推進者である申請者自身が継続的に省察し、その役割と課題を3点から明らかにすることである。以下、3点に即して現在までの成果と今後の方向性を述べる。第1の「大学の研究に地域貢献が及ぼす影響への着目」については、市民公開講座と若手教員の研究発表をリンクし、公開講座準備の段階から事業推進者が関わることで、若手教員が市民の目線に立った報告を行い、また研究に対する市民からの声を得る道筋ができつつある。今後、当該若手教員との共同での省察の機会を設けることを検討している。第2の「学内外の機関・組織との協働のネットワーク形成における研究実践センターの役割」については、保健相談活動を通じた大学病院看護部との人事交流、工学部教員と企業との共同研究会との連携など、具体的な事業が開始されたところである。特に前者では、保健相談活動の共同省察を看護師と行うことで、看護師及び本学教員の力量形成につなげていきたい。第3の「『GSH(性差保健)』推進が男女共同参画に寄与する要件については、学会発表での討議、センター主催シンポジウムでのシンポジスト報告及びセンター事業に対する一定の男性市民からの関心から、「性差医療」において見過ごされがちであった男性の健康問題へのアプローチが課題として浮かび上がってきたところである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.センターの事業展開について省察を行い、日本社会教育学会第58回研究大会自由研究発表(9月)にて「『性差保健』をテーマとする実践コミュニティの展開(2)」として報告し、討議からさらに省察が深められた。また、お茶の水女子大学実践研究ラウンドテーブル(7月)では、申請者本人がセンター教員としてどう事業展開に関わったのかという観点からの省察を報告し、センターの理念・実践展開を発展的にとらえなおすことができた。2.市民公開講座に市民の視点を入れるため、年度内に市民公開講座継続参加者のグループインタビューを計画していたが、センター主催シンポジウム開催が3月となり、それをふまえたグループインタビューとするために5月に実施の予定である。なお、本研究における調査実施について、新潟大学医学部倫理委員会の承認を得た。3.連携協力者との共同省察についても、2のシンポジウム開催結果及び6月の国際学会発表の成果をふまえて行うことにしたため、今年度7~8月に実施する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の新たな展開として、本年度6月末にイタリア・ミラノで開催の2nd Global Conference for Qualitative Health Research(以下、2nd GCQHR:第2回質的健康研究国際学会)のポスター発表部門にて本研究報告を行う(アクセプト済み)。5月には市民公開講座継続参加者を対象とするグループインタビューを実施予定、7月には国際学会発表の成果の検討を含めて、連携研究者と共同の省察を実施する。また、国内での本研究報告として、10月の第59回日本社会教育学会研究大会自由研究発表、福井大学・早稲田大学・お茶の水女子大学及び「社会教育実践研究フォーラム」らが定期的に開催しているラウンドテーブルへの参加を今秋以降に予定している。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費使用予定見積り金額は合計610,000円であり、内訳は「設備備品費」15,000円、「旅費等」595,000円となる。1.申請当初の計画への追加分として、国際学会2nd GCQHRへの参加費・旅費285,000円(参加費(ワークショップ含む)45,000円、旅費240,000円)を新たに計上する。この費用として、23年度未使用の「参考図書一式」80,000円と「テープ起し」140,000円分、24年度「参考図書一式」80,000円を15,000円に減額修正して65,000円を充当する。2.本研究報告予定の第59回日本社会教育学会研究大会の開催地が北海道教育大学釧路分校となったため、旅費を当初計上の30,000円から70,000円に修正する。3.その他は、「参考図書一式」15,000円、「ラウンドテーブル旅費」80,000円、「テープ起こし」140,000円、複写費20,000円を使用予定である。
|
Research Products
(1 results)