2013 Fiscal Year Annual Research Report
<学校力>向上を規定する組織の内的メカニズムに関する基礎的研究
Project/Area Number |
23531051
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
安藤 知子 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (70303196)
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Keywords | 学校力 / 学校の組織力 / 特色ある教育活動 / 相互行為 / 学校経営ビジョン / 意味付与 |
Research Abstract |
平成25年度は、(1)「学校全体での取り組み」に対する積極的な意味付与が形成される過程に関する事例調査の分析・検討を継続すること,(2)日常的な教職員間の相互行為に着目する観察を含む事例調査を実施し,<学校力>向上を規定する学校組織の内的メカニズムに関するモデルを構築することの2点を課題として取り組んだ。 (1)については,24年度に実施した2小学校での調査結果を分析し,M小学校の事例について日本教育経営学会で報告を行った。研究報告書では,もう一校の事例調査結果も掲載した。個々の教師が学校全体の取り組みを肯定的に意味づけ,積極的に関与する際の,意味付与に影響する要因を分析したが,いずれの事例でも,はじめに着目した水本の「学校の組織力の三層構造」の基盤部分を構成する「個人」「装置」「相互行為」という要素の重要性を確認した。また,(2)の課題については,東京都内の小学校において「全国社会科研究協議会研究大会」の準備段階および発表会当日の参与観察と聞き取り調査を実施した。 23年度~25年度にわたる4校の事例調査の分析結果を総合して,最終的に<学校力>向上を規定する学校組織の内的メカニズムに関するモデル(試案)を作成した。モデル案では,特に①「相互行為」の在り方において仕事の可視性が高いことや同僚間の会話構造が相互受容的であること,②「個人」の自己役割規定が学校全体の取り組みに添うものであること,③学校経営ビジョンに基づく戦略としての「装置」が明確であることなどの重要性を指摘した。 とはいえ,このモデル案は未だ試論の域を出ておらず,今後意味付与過程のより丁寧な分析を加味して修正していくことが必要である。
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