2011 Fiscal Year Research-status Report
校内授業研究における教師の職能発達を支援する校長のリーダーシップに関する研究
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23531052
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
北田 佳子 富山大学, 人間発達科学部, 准教授 (60574415)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 学校経営 / 校長のリーダーシップ / 校内研修 / 授業研究 / 教師の職能発達 |
Research Abstract |
本年度は、校内授業研究を学校経営の中核に据えた先駆的な実践を行ってきた学校長が、新しく赴任した公立中学校においてフィールドワークを行い、教師の職能発達を支援する具体的な校長の役割を調査した。本年度中、定期的に調査校を訪問し、校長に密着しながらその言動をフィールドノーツに記録するとともに、必要に応じてビデオ録画やインタビューを行った。現在、これらの記録の文字起こしを行い、校内授業研究を含む教師の職能発達を支援する校長の言動の特徴を量的・質的に分析しているところである。まだ分析の途中ではあるが、これまでに明らかになったことは以下の通りである。 当該校長が本年度赴任した中学校では、これまで教科の壁を越えて学校全体で校内授業研究を行うという文化がほとんどなかったため、校長はまず校務分掌や各種委員会・会議の見直しをはかり、授業研究を行う研修時間の確保を行った。その際、トップダウンで強行に改革を行うのではなく、授業研究の重要性を粘り強く説き、教職員のなかに授業研究を行う必然性が芽生えるように働きかける形で改革を行った。その働きかけは、職員会議や打ち合わせといったフォーマルな形で行われることもあったが、むしろ、休み時間に校長が教職員と何気ない立ち話をしたり、校長が毎朝校内を歩きながらさりげなく授業を見に教室を訪れた際に、各教師に対して声をかけるといったインフォーマルな形で行われることのほうが多いということが明らかになった。 現在、学校文化を変革する学校長のリーダーシップに関する研究は日本でもある程度蓄積されてきているものの、本研究のように、学校長が日常的に行っているインフォーマルな言動がどのように変革に結びついているのかを、実際のフィールドワーク調査に基づいて描出した日本の研究は管見の限りない。その意味で、本研究の示す知見は重要な意味を持つものと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度に実施予定であった調査の対象に東日本大震災で被災した県が含まれていたため、この調査は延期することとし、かわりに平成24年度に実施を予定していた調査を前倒しで本年度内に行った。このように当初の予定は変更したが、研究自体はほぼ計画通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初、平成23年度に質問紙調査を計画していたが、調査の対象に東日本大震災で被災した県が含まれていたためこの調査は延期することとし、かわりに平成24年度に予定していたフィールドワーク調査を本年度に前倒しで行った。質問紙調査とフィールドワーク調査ではかかる経費が異なるため、次年度に使用する予定の研究費が生じることとなったが、最終的には計画通り3年間ですべての調査を実施する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、平成23年度に行ったフィールドワーク調査のデータベース化と分析を進めるとともに、当初平成25年度に予定していた授業研究のDVD記録分析調査を前倒しで行うことにより、延期した質問紙調査を最終年度の平成25年度で行えるように計画している。
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Research Products
(2 results)