2013 Fiscal Year Research-status Report
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23531057
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
小川 英彦 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (30290159)
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Keywords | 幼児教育史 / 知的障害 / 三木安正 / 保育問題研究会 / 恩賜財団愛育会愛育研究所 / 第三部会 / 困った子 / 戦前 |
Research Abstract |
1.研究の目的に照らし合わせて 戦前の障害児保育の実践と研究をめぐっては、保育問題研究会第三部会と恩賜財団愛育会愛育研究所で活動が行われていた。三木安正が所属した保育問題研究会とその機関誌の『保育問題研究』に焦点化して戦前の障害児保育の展開を明確できた。『保育問題研究』第一巻第一号から第四巻第七号にわたっての記述を見る中で、その展開過程を指摘した。戦前における障害児保育の試行的な活動を明らかにできたことで、次の年度で扱う研究に向けて、戦前と戦後の連続性を理解することにつながると考えられる。 2.研究実施計画に照らし合わせて 三木が果たした役割について、1)生活をつぶさにみようとした点、2)保育の実際を非常に重視した点、3)障害それぞれの程度に応じた指導の場を設定する必要性を主張した点、4)心理学、保育・教育学、社会福祉学、医学といった諸科学の視点に立つと同時に、保育者とともに日常的に意見交換でき、チームワークの場を求め展開した点にあると明確にできた。また、第三部会で扱った困った子への研究方針は、1)理論的研究、2)実際的研究、3)調査研究と3つを位置づけて活動していたことが把握できた。 本研究では、1)対象とした子どもについて-知的障害児、性格異常児、言語障害児など、2)観察と記録について-記録用紙と保育日誌の活用、3)発達をとらえる視点について-問題行動を単に現象的にみるのではなく、子どもの発達する姿にそってみること、4)園の先生のニーズに寄り添ってについて-実践と理論の結合をはかるといった4つの先駆的な試みをしていたことを明らかにすることができた。当初の計画通り、資料の『保育問題研究』の障害児保育に関する記述を整理することができ、その研究成果を研究紀要(『幼児教育研究』)や単著(『障害児教育福祉の歴史』)に発表しパブリックなものに発展させることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に記した三木安正が中心となって先駆的役割を果たした保育問題研究会と恩賜財団愛育会愛育研究所に関する活動(理論面と実践面)を一定明らかにすることができたためである。 特に、保育問題研究会の当時の活動については、同研究会機関誌である『保育問題研究』を入手でき、その記述から障害児保育にかかわるものを選択して、丹念に明らかにできたためである。 また、研究成果を公にするために、研究紀要と単著に所収することができたためである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策は、1970年代の行政動向と法の整理を行って進める。その時に、戦後の障害児保育の制度確立の過程に焦点化して明らかにしていく。 平成26年度は高知や茨城で行われる学会に参加する。平成27年度は関東方面と関西方面で行われる学会に参加する。 次年度以降は資料収集に力を注ぎ、関係書籍(復刻版の書物を中心にして)を購入していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入した物品が予定より安価だったため 平成26年度は高知と茨城において学会参加する。 関係資料(復刻版を中心とした図書)をさらに購入する。
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