2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23531057
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
小川 英彦 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (30290159)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 滋賀県大津市 / 障害児 / 乳幼児 / 健診 / 早期発見 / 早期療育 / 地域連携 / 発達保障 |
Outline of Annual Research Achievements |
1、研究の目的に照らし合わせて 乳幼児健診や障害児保育に、全国的にいち早く取り組んできたのは滋賀県大津市であった。先駆的実践を行った地域として特筆できる。1947年には厚生省に児童局が設置され、局内に母子衛生課が置かれ母子保健行政を所管することとなった。同年に大津市の保健所で、乳幼児一斉健診が実施され、1958年には大津市衛生課や大学、保健所、医師会、助産婦会などが1歳児健診に取り組んでいる。こうした実践をみると、先駆的に実施した先導の役割を考えることができる。 2、研究実施計画に照らし合わせて その後の大津市の実践をみると、ゼロ歳児医療の無料化、障害児に対しての超早期リハビリテーションを実施、保育所に入る前段階として、障害児のために母子通園事業やまびこ教室を開設、希望する障害児全員を保育所・幼稚園で受け止める、乳幼児健康カードの作成など大津市か゛1963年から1973年まで健診を重ね、健診漏れ、発見漏れ、対応漏れゼロを目指してきた取り組みである。 障害乳幼児健診は当初から障害の早期発見だけでなく、その後の早期療育といったフォローへつなぐ、社会的子育ての窓口としての機能を有している点に意義を見出すことができると考えられる。発見後の対応の地域での諸機関の連携、対応のシステムや子育て支援施策を切り拓く役割を担ってきたとも換言できる。まさしく諸機関の専門性の発揮といえよう。それぞれの機関には固有の役割があるものの、その補完性があることで、障害児のより一層の発達促進、発達保障になっていると結論づけることができた。 大津市の先駆的実践を考察することで、関連する法改正や国の施策の積極面やタイミングを活用して、地域で一貫した乳幼児健診や療育のシステムをつくる契機にすることは可能であると考える。各自治体の再構築へのひとつの指標としての役割を担っているところに意義があると結論づける。
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