2013 Fiscal Year Annual Research Report
大学ガバナンス改革における組織文化と職員開発に関する国際比較研究
Project/Area Number |
23531062
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大場 淳 広島大学, 高等教育研究開発センター, 准教授 (50335692)
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Keywords | 大学ガバナンス / 組織文化 / 意思決定 / 職員開発 |
Research Abstract |
平成25年度は、国内外の調査等を引き続いて行った。本年度は本研究の最終年度に当たることから、研究成果を広く発信すべく、研究会等での報告、出版活動を日本語及び外国語で精力的に行った。本年度内に行った学会等発表は4回、出版された文献は雑誌論文3件、書籍3件(編著1件及び分担執筆2件)である。また、上記出版物以外に大学ガバナンスに関する国際比較を行った書籍(M. Shattock編)で日本の章を分担執筆しており、当該書籍は平成26年6月にRoutledge社から全世界で出版・販売される予定である。 本研究の成果として、全国大学調査(平成24年実施、副学長対象)が、学長リーダーシップが企業トップのそれとは異なって信頼や分権化を基調とする特性を有していること、組織文化がリーダーシップと密接な関係性があることを限定的ながらも定量的側面から明らかにした。そして、国外の先行研究や大学訪問調査においても、構成員の意思決定への積極的な参加、それを促す幹部職員(学長等)のリーダーシップが強調されており、国内調査で得られた知見との整合性が認められた。また、大学ガバナンスは、それぞれの大学が置かれた環境やその歴史や組織文化等に応じて多様であって、唯一望ましい在り方は存在しないことも明らかとなった。 このような知見は、日本の大学改革では意思決定における上意下達的側面や制度改革が重視され、一定方向のガバナンス改革が一律の全大学に適用される傾向がある中、個々の大学が有する諸条件によって望ましいガバナンスの在り方は異なっていることを指摘するものである。そのことは、大学運営に関する改革の在り方は、例えば学長の権限拡大や教授会の権限縮小といった一律の制度改革を行うことではなく、個々の大学が適切なガバナンスの在り方を構想することを支援することにあるべきことを示唆している。
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Research Products
(11 results)