2011 Fiscal Year Research-status Report
日本的人材育成システムにおける企業内教育と職業能力開発の展開に関する実証的研究
Project/Area Number |
23531067
|
Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
永田 萬享 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (70155935)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 技能者養成 / 技術者養成 / 専修学校 / 企業内職業訓練短期大学校 / テクニシャン / ものづくり人材育成 |
Research Abstract |
調査対象のA社は、日本を代表する総合電機・電子機器メーカーである。電機産業の労働力構成の特徴は技術者の比率が高いために、ここでは技能者の教育訓練のみならず、技術者の教育訓練についても述べることにする。まず、技能者の教育訓練には「養成訓練」「技能向上教育」「監督者教育」に大別される。例えば、「養成訓練」には専修学校で行うものと、同社高等職業訓練校で行うものがある。前者は中卒者を対象とする全日制3年の教育訓練であり、高卒の資格が取得できる。他方、技術者の教育訓練には(1)A社専門学院で行う教育、(2)事業所レベルの教育、(3)A社技術研修所で行う教育がある。(1)には高卒2年目を対象とする15ヶ月の「技術者養成教育」(本科)と、本科の卒業生を選抜して1年間国内の大学に委託する「委託研修生制度」(研究科)がある。本科には、電気科、機械科、材料科、電子科、情報制御科、情報科、管理工学科がある。 B社では、照明、情報機器、電器、住建、電子材料などを基幹事業として展開しており、25万品番に及ぶ多種多様な商品を手掛けている。ものづくり人材育成については、(1)B電工工科短期大学校、(2)ものづくり競技大会、(3)技能五輪、(4)FT職能開発研究会、(5)高度技能職認定制度などの取り組みを行っている。B電工工科短期大学校は厚労省認可の企業内訓練校で、メカトロニクス科と精密加工技術科を設置している。対象者はB社従業員のうち、機械系・電気系の工業高校卒業者または普通高校卒業者で、工場長の推薦を受けた者であり、訓練期間は2年間である。なお、ものづくり人材育成の強化の取り組みとして、数年前から大卒・院卒新人ものづくり研修として4月から導入教育後、5~6月にかけて1.5ヵ月の研修が実施されている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に沿って、我が国電機産業を代表する2つの企業の企業調査と企業内教育訓練機関調査をほぼ順調にこなしてきた。内容的に教育訓練の実態については一定のデータを得ることができた。一方で、「職能資格制度」については必ずしも十分な聴き取りを行うことができなかったが、資料の収集においてそれを補うことができたと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
すでに電機産業を対象とした企業調査および企業内教育訓練機関調査については順調にこなしてきており、今後はさらに鉄鋼業と自動車産業を調査対象として、当初の計画どおりに進めていく。技術革新の到達段階と労働内容の実態や企業内教育体系、教育カリキュラムについても、十分な資料収集と綿密な聴き取り調査を実施する。さらに、公共職業訓練校の調査も同時並行して進める。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画では1回のみの調査で十分な資料が得られないことも鑑みて、複数回の訪問調査や他機関の補足調査をも想定していたが、良好な協力関係が得られたために、次年度に使用できる経費を残せた。次年度も基本的には当初の計画に沿って調査対象の企業や複数校の公共職業訓練校の訪問調査を行い、そのための経費に、次年度使用額と合わせて、充てていく予定である。
|
Research Products
(3 results)