2011 Fiscal Year Research-status Report
福岡県における占領期の保育―保育先進県の戦後保育構築に関する実証的研究
Project/Area Number |
23531075
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
清原 みさ子 愛知県立大学, 教育福祉学部, 教授 (00090366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊田 和子 桜花学園大学, 保育学部, 教授 (80087915)
原 友美 愛知県立大学, 教育福祉学部, (非常勤講師) (80448703)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 保育史 / 福岡県 / 戦後(占領期) |
Research Abstract |
『福岡県社会福祉事業史 別巻』の各保育所紹介を手掛かりに、昭和25年度までに設立され、現在も存続していると思われる保育所に、資料があるかどうか、当時を知っている人がいるかどうかを尋ねるアンケート調査を行った。「調査研究へのご協力のお願い」を作成し、回答用葉書と「福岡県における戦後のモデル保育所に関する実証的研究」の概要を同封して、10月末日を締め切りとした。回答がなかったところへは、再度お願いを送付した。その結果、「資料がある」「知っている人がいる」に該当する保育所は16ヵ所であった。「知っている人がいる」保育所は7ヵ所であったが、そのうちの1ヵ所は、アンケートへの回答後、知っている人が亡くなり、聞き取り調査ができたのは、6ヵ所であった。写真が一部あるかもしれないという保育所は、20年代のものではなかったということであった。 聞き取り調査、資料収集は二人一組で行い、11月末から3月にかけて、6回に分けて14ヵ所を訪問した。この時に合わせて、福岡県立図書館、福岡市立中央図書館、北九州市立中央図書館をはじめとして、柳川図書館、三潴図書館等を尋ね、郷土史資料を中心に、保育関係の記事を探した。また、西南女学院大学の図書館でも、先行研究の検索をはじめ、資料を探した。聞き取り調査に関しては、各保育所ごとに、沿革、在籍児数、受け入れ対象年齢、保育時間、保育料、施設、保育者数と資格、保育内容等について、一時的なまとめを行った。 また、国立国会図書館プランゲ文庫にある、「九州保育新聞」(「学業院新聞」から改題)をはじめ、県内各地域で出されていた新聞から、保育に関連する記事を探し出すことを行った。これに関しては、膨大な資料から探し出さなければならないため、まだ途中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画の「(1)保育所へのアンケート調査」「(2)資料が残されている保育所への訪問」は、順調に進んだ。『福岡県社会福祉事業史 別巻』をもとに、各保育所のホームページ等を検索して、現在も存続していると思われる113ヵ所に発送した。返事がなかった63ヵ所へは、再度お願いを行った。その結果、55ヵ所から回答があった。統廃合等で5ヵ所は、宛先不明で返送された。(その後のこの5ヵ所の動向は判明したので、幼稚園の調査に合わせてアンケートを送りなおす予定である。)当時のことを知っている人がいる保育所から聞き取り調査を始め、さらに資料がありそうな1ヵ所を除いて、資料収集も終わった。 「(3)福岡県保育連盟と『育てつつ』にかかわる資料収集」では、「育てつつ」は早緑子供の園、西南女学院大学にも残されていなかったため、入手できていない。福岡県保育連盟の副会長であった大野柔忍は、善隣保育園園長であったと思われるが、廃園になっている。もう一人の副会長の岡田栄資は、都府楼保育所所長であったが、この保育所も現存しない。 「(4)『九州保育新聞』と九州保育研究所にかかわる資料収集」では、「九州保育新聞」の国立国会図書館プランゲ文庫にある分はコピーをして、その内容の分析を始めた。 「(5)収集した資料の整理」に関しては、まず、聞き取り調査の整理をした。各地の新聞や郷土史関係の整理を始めた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在途中である国立国会図書館プランゲ文庫の資料から、保育関係記事を探すことを継続する。資料が膨大であるため、探す作業は時間がかかると思われるが、集中して取り組むこととする。 資料収集のため、筑後市の松原保育園を再度訪問すると同時に、戦後、とくに昭和20年代前半は、保育所と幼稚園が一緒に福岡県保育連盟に集い、活動していたので、当時設立されていた現存する幼稚園への資料収集も行うこととする。該当する幼稚園を特定したうえで、アンケート調査を行い、資料が残されていたり、当時のことを知っている人がいたりする園を訪問する。特に「育てつつ」に関しては、今のところ2号分以外に見つかっていないので、範囲を広げて探して行くことが必要である。 福岡県保育連盟の理事をしていた人々がどこの保育所・幼稚園の関係者であったのかを探り、わかったところへは連絡を取ったうえで、訪問を計画する。前述の善隣保育園の母体となったのはお寺であると思われるので、そこへの訪問も検討する。「九州保育新聞」の責任者でもあった岡田栄資は、宮村女子商業学校にも関係していたが、そこも現存しないので、関連資料発掘の方策を探る。 郷土史や各地の新聞等から得られた保育関係資料の整理を進める。 「九州保育新聞」の記事内容の分析を中心に、日本教育学会第71回大会での発表準備を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国立国会図書館プランゲ文庫の資料収集を行い、収集した資料を整理する。(旅費、コピー代、資料整理アルバイト代) 残された資料収集のため、筑後市の松原保育所への訪問、幼稚園へのアンケート調査と幼稚園への訪問を行う。(旅費、郵送費、アンケートの発送・資料整理アルバイト代) 福岡県保育連盟の理事をしていた人々の関係保育所等を探り、訪問する。(旅費) 聞き取り調査、資料収集で集めた諸資料の整理を進めていく。(資料整理アルバイト代) 定期的に研究会を開催して、整理した資料の分析を行っていく。(資料整理アルバイト代、会議費、交通費)
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