2012 Fiscal Year Research-status Report
教育の情報化を推進する学校と教師の力量スタンダードに関する開発的研究
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23531076
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
福本 昌之 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (60208981)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
諏訪 英広 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 准教授 (80300440)
米沢 崇 広島大学, 教育学研究科(研究院), 講師 (20569222)
金川 舞貴子 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 講師 (40452601)
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Keywords | 教育の情報化 / 学校経営 / ICT / 教師の力量 / 政策 |
Research Abstract |
本研究は、学校の組織運営と教育実践のイノベーションという視点に立ち,①学校における情報通信技術(以下、ICT)の影響効果を分析し,②学校における教育の情報化を推進していくために,学校と教師の双方に求められるICT活用力量に関する基準(スタンダード)を開発することを目的とする。平成23年度は,主に以下の2つの調査研究を行った。 1.アメリカ・ミネソタ州・ミネアポリス教育委員会のICT政策の動向,および同委員会の管轄する区域の学校におけるICT活用の状況について,実地調査を行った。前年度に明らかにされた人的支援のあり方についてインタビューを行い,どのような役割を担っているのかを確認した。また,教育委員会の教育政策において,研修機会どのように確保されているか,また,研修リソースがどのように提供されているかについて,調査を行った。 2.質問紙調査。全国の公立小学校・中学校より各々500校(計1000校)を無作為抽出し,調査協力依頼書,調査同意書,質問紙調査票など調査実施に関わる書類等一式を各校の校長宛に発送した。研究への同意が得られる場合には,各校の教員5名と事務職員1名および校長に,調査協力依頼書,質問紙調査用紙,返送用封筒の計3点を配布してもらうよう依頼した。調査は,2012年8月20日に各校宛に調査書類等を発送し,回答の返送期限を同年9月14日として行なった。返送された質問紙調査は,教員421件(返送率8.4%),校長112件(同11.2%),事務職員103件(同10.3%)であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
質問紙による量的調査を実施し,学校における教育の情報化の現状を把握することができた。また,当初の研究情の課題として措定していた,1)ICTというテクノロジーは,学校の教育実践の現実的な文脈に即して活用される,2)教職員の協働による組織的な教育実践の改善に寄与する,3)ICTの活用に関わる知識技術は,個々の教職員の知識・技量と組織において蓄積された知識との相乗効果として創造されるという点についても,前年度の聞き取り調査で把握した状況と照らしても,相応な状況が確認できているという理由による。とくに1)については,学校経営上のビジョンに基づいてICTの活用方法や活用領域が異なることが明らかになっている。これは教師にとっての実践上の文脈のなかでICTが活用されている証左である。また3)についても,学校による差はありそうだが,ICT活用ノウハウなどの知的財産が蓄積されていることを確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.ICTによる教育効果の認識を測定するために,児童生徒を対象とする調査を行う。調査票は協力校の教諭等に依頼して内容等のチェックを経た後に,教育委員会を通じて,小学校10校(各学年1),中学校10校(各学年1)に調査を依頼し,小学生2400名,中学生1200名を対象とする。質問内容は,ICTの利用実態を把握し,ICTの教育利用に関する見解を問うものとする。 2.前年度に引き続き,比較のための調査をミネソタ州ミネアポリスの学校において行なう。主な内容は,ICT活用による教育効果,ICTの活用領域とその評価,および各学校のOJTの状況について情報を得ることを目的とする。 3.国内のフューチャースクール事業について情報収集を行なうとともに,新たに利用されているアプリケーションソフトの使用便宜について聞き取り調査を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に学校現場の実態調査を目的に質問紙調査を実施したが、当初想定した回答数を大幅に下回ったため,郵送料等の余剰が生じ,164,731円の次年度使用計画が生じた。この研究費は、平成25年度分として請求した科研費とあわせて、下記の研究を実施するために使用する予定である。 1.質問紙調査を実施するため,郵送費,印刷費,データ入力費。 2.旅費。調査および学会発表。 3.教育用アプリケーションソフトウェア等の評価のための機器購入。 4.調査結果を集約し報告するための最終報告書の印刷費。および発送費用。
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Research Products
(5 results)