2013 Fiscal Year Annual Research Report
幼児の図形による見立ての描画表現―年齢、環境、性差からの検討―
Project/Area Number |
23531080
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Research Institution | Wayo Women's University |
Principal Investigator |
島田 由紀子 和洋女子大学, 人間社会学系, 准教授 (80369397)
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Keywords | 幼児 / 描画 / 見立て / 年齢 / 性差 / 環境 / 創造 / イメージ |
Research Abstract |
幼児の描画表現の創造性と想像性について明らかにするために、図形からの見立ての描画について調査を試みた。自由画とは異なり、図形から何を想像し描き表すのかという創造性について、ひとりの幼児から複数の描画を収集し、年齢、性別、環境から検討することにした。 幼児に提示した図形は三角、丸、四角をそれぞれ6個、図形の線画は黒のみの場合、青、黄、ピンクの調査用紙、青・黄・ピンクの面の調査用紙の3種類を用意した。調査用紙の図形を何かに見立て描き表すよう教示した。図形3種は玩具などで幼児に親しみがあり基本的な図形と考えられること、青は男児が、ピンクは女児が好きな色、黄色は両者に好まれる色であることから選択した。調査対象は、日本と日本とは色彩使用が異なると考えられるチェコ共和国の幼児・小学生である。 調査の結果、両国の共通として①幼児よりも小学生の方が男女とも「図形の見立て」が成立した絵を描くこと、②女児の方が描画数が多い傾向にあること、③年齢、性別を問わず、図形の色は見立てにほとんど影響しないこと、④見立ての描画発達段階の特徴、が挙げられる。差異としては、日本の幼児によっては図形を活かした独創的な描画表現が多くみられたが、チェコでは全体に類似した描画表現の傾向がみられた。日本の保育では、一人ひとり表現を重んじる場面がみられるが、チェコでは文字教育を見据えワークシートを用いた線画の練習に取り組むことが行われていることから、描画表現のイメージや創造性には、年齢、環境、性差に加え、保育や教育の影響が示唆された。
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