2011 Fiscal Year Research-status Report
保育実習における自己評価規準の開発―ルーブリック評価と心理学の観点から―
Project/Area Number |
23531081
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
沢崎 真史 聖徳大学, 児童学部, 教授 (80320703)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野上 遊夏 聖徳大学, 児童学部, 准教授 (70364974)
森 貞美 聖徳大学, 児童学部, 講師 (10337850)
細戸 一佳 聖徳大学, 児童学部, 准教授 (90337775)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 幼児教育・保育 / 保育者養成 / 実習 / 自己評価規準 / 保育者コンピテンシー / ルーブリック評価基準 / 保育実習自己効力感 |
Research Abstract |
社会から要請される保育者(保育士・幼稚園教諭)の役割が多様化したことに対応して、大学教育における保育者養成プログラムの充実が求められることとなった。特に保育実習・教育実習の担う役割は大きい。こうした状況をふまえ、本研究では、学生が主体的に学ぶ質の高い保育者養成プログラム作成が必要であるとの認識に立ち、まず保育実習の到達目標とされてきた内容をコンピテンシーの観点から再検討し、保育実習を振り返るための自己評価の規準として明らかにする。その上で、達成度をルーブリック評価の観点から学生が自己評価できるようにすること、また、実習への心理的影響要因の横断的・縦断的分析の結果と合わせて、効果的な実習を進めるためのポートフォリオを設計することを目的としている。 学生が自主的に保育実習に取り組むためには、各自が目指す保育者像や保育の方向性を明らかにすることが必要であり、望ましい保育者としての姿をコンピテンシーの観点から検討することが重要である。したがって、本研究の初年度では、保育者コンピテンシーに関する先行研究を整理・検討した。また、自己評価のための規準を明らかにするために保育現場と密着した視点を得ることが必要であり、保育者を対象にした半構造化面接に着手した。現段階ではコンピテンシーの観点から保育者について分析した研究は少ないが、今後の保育者養成において、ひとりひとりの学生が目指す保育者像に向かう能力の観点を明らかにすることは研究の意義として大きい。 また、心理学的観点として、保育実習効力感について、第1回目の保育実習の前後で測定し、その変化を検討した結果、実習によって保育実習効力感は上昇することが明らかとなった。その後、2回目と3回目の追跡調査を行い、結果は現在分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度の目的として、「保育実習自己評価」をどの観点から評価するかについて先行研究を検討し意見交換をした。その結果、保育者コンピテンシーの観点から整理し、ルーブリック評価としての基準を明らかにしていくことが確認された。また、自己評価の基準を明確化するために現場の保育者との意見交換の観点が整理されつつある。保育実習自己効力感については、平成23年度の保育実習(該当学年3年生)について、実習による変化を4時点(実習前、1回目実習後、2回目実習後、3回目実習後)で追跡調査しており、おおむね順調に進んでいると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後においては、保育者コンピテンシーについての先行研究を参考にしつつ、現場の保育者との半構造化面接によって、保育者コンピテンシーの観点を明らかにし、養成課程終了時(大学卒業時)におけるコンピテンシーの達成目標についても検討していく予定である。平成25年度にむけて保育者コンピテンシーについて自主シンポジウムを開催し、広く意見交換をする必要があると考えている。 また、心理学的な観点から、実習自己効力感と実習不安感との関連を検討するための調査を実施していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
保育現場の保育者を対象とした半構造化面接を実施し、結果を効率よく整理するための機器を整え、分析を進めていく予定である。また、心理的観点からの質問紙調査を実施し、その分析を行う予定である。 研究開始当初予定していた備品の購入が遅れており、それが繰越金として発生した。平成24年度は、半構造化面接に必要な録音機器と分析ツールの購入を早急に手配し、効率よく分析を進めていく予定である。
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Research Products
(1 results)