2012 Fiscal Year Research-status Report
保育実習における自己評価規準の開発―ルーブリック評価と心理学の観点から―
Project/Area Number |
23531081
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
沢崎 真史 聖徳大学, 児童学部, 教授 (80320703)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野上 遊夏 聖徳大学, 児童学部, 准教授 (70364974)
森 貞美 聖徳大学, 児童学部, 講師 (10337850)
細戸 一佳 聖徳大学, 児童学部, 准教授 (90337775)
上田 智子 聖徳大学, 児童学部, 講師 (50334561)
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Keywords | 幼児教育・保育 / 保育者養成 / 実習 / 自己評価規準 / 保育者コンピテンシー / ルーブリック評価規準 / 保育実習自己効力感 |
Research Abstract |
本研究の目的は、学生が主体的に学ぶ質の高い保育者養成プログラムの開発をめざし、保育実習における達成目標と達成度をルーブリック評価の観点から明確化し、「保育実習自己評価」規準を作成すること、さらにそれをふまえた上で、実習への心理的影響要因の横断的・縦断的分析の結果と合わせて、効果的な実習を進めるためのポートフォリオを設計することである。 初年度は先行研究を整理・検討した。その過程で、保育実習における達成目標と到達度を評価する観点を明確化するため、保育現場と密着した視点を得ることの必要性が明らかとなった。そこで2年目は、佐藤ら(2011)の専門的職業能力の概念に依拠しながら、公立保育所所長及び主任保育士を対象として、大学在学中から採用後数年までの期間に獲得することが期待される専門的職業能力について調査を実施した。また、保育士・幼稚園教諭及びその管理職を対象として、経済産業省(2008)の「社会人基礎力」に依拠しながら、保育現場で求められる能力、管理職に求められる能力、最近の保育士に不足していると思われる能力について調査を実施した。結果、①これらの能力の中には、大学在学中での獲得が期待されていないものもあること、②保育現場では「チームで働く力」「柔軟性」「状況把握力」「傾聴力」などが特に重要と考えられていることが明らかになった。 この他、心理学的観点から保育実習自己効力感について調査を実施した。保育士養成校の女子大学生を対象に、1回目の実習前後、2回目及び3回目の実習後の計4回追跡調査を実施した。保育実習自己効力感は特に第1回目の実習で有意に上昇しており、最初の実習での経験の重要性が明らかになった。また、保育士養成校の女子大学生1~4年生を対象に学年比較を行ったところ、「子どもとのコミュニケーション」や「実習に対するストレス対処」などは4学年における有意な差はなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、①保育実習への影響要因のうち、実習自己効力感と実習資質・能力について全学年を対象に検討し、②保育実習自己評価規準作成のための調査を行う予定であった。 ①については、平成23年度~24年度にかけての保育実習(3年次~4年次の期間)による変化を、4時点(実習前、1回目実習後、2回目実習後、3回目実習後)で追跡調査した。また、4学年を対象として学年比較を行った。 ②については、保育実習における達成目標と到達度を評価する観点を明確化するために現場の保育者を対象とした質問紙調査を実施し、保育者に期待される専門的職業能力について検討を重ねた。その結果、現場において重要とされる専門的職業能力を構成する各要素が確認されつつあるが、現在、高山(2010)によって発表された保育者コンピテンシーの概念も採用しながら質的な分析を進めており、今後一層深めていく必要があると考えている。 したがって平成24年度の研究については、おおむね順調に進んでいると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後においては、保育者コンピテンシーについての先行研究を参考に、現場の保育者を対象とした半構造化面接の実施数を増やし、保育者コンピテンシーについて精査し明らかにしていく。特に養成課程終了時(大学卒業時)におけるコンピテンシーの達成目標についても検討していく予定である。平成26年度にむけて、学会等において保育者コンピテンシーに関する自主シンポジウムを開催し、広く意見交換をする必要があると思っている。また、心理学的な観点から、実習自己効力感については引き続き追跡調査を実施していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
機器については購入がほぼ終了したので、次年度は保育現場の保育者を対象とした半構造化面接及び学生を対象とした調査を実施し分析を深め発表をしていく予定である。面接調査、質問紙調査ともに、対象を広げ調査数を増やす必要があるため、今年度の経費を一部繰り越し、次年度に調査を行う。
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Research Products
(4 results)