2011 Fiscal Year Research-status Report
最新メディア教育を活用した幼小連携スタートプログラムの開発研究
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23531082
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
駒谷 真美 昭和女子大学, 人間社会学部, 准教授 (20413122)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | メディア教育 / 幼小連携 / 幼児教育 / 児童教育 / 最新メディア / スタートプログラム |
Research Abstract |
平成23年度は、萌芽研究の結果と、ユネスコが定義したメディア情報リテラシー「情報を伝える力」の概念を取り入れ、幼小連携スタートプログラムを企画した。 6月に茨城大学の村野井教授を訪問し、教育学の観点から、幼稚園教育要領と学習指導要領で重視されている「言語活動の充実」に特化したプログラムの素案について協議した。7月にフィラデルフィアで開催された全米メディアリテラシー教育協会の会議で、テンプル大学のホッブス教授に、幼児期にあたる【接続期前期】と児童期にあたる【接続期中期】【接続期後期】において、最新デジタル教材(タブレット型端末)の活用に対する助言をもらった。イエール大学のシンガー教授からメディア教育と幼児教育の両観点から本プログラムの試案について、メディア情報リテラシーの発達の可能性を吟味してもらった。研究協力先の候補の幼稚園・子ども園・小学校を視察し、幼稚園ではアンケートを実施し、メディアに関わる子ども達の実態を把握した。 その結果、本プログラムでは、【接続期前期】【接続期中期】【接続期後期】を通して、情報メディアリテラシーの発達として、単なる「見る」「聞く」段階から、意識して「視る」「聴く」段階へ導き、「メディアと情報から、自分のことばで表現する」内容にした。具体的には、【接続期前期】では30秒、【接続期中期】では45秒、【接続期後期】では60秒、各時期に応じた映像作品(物語の最終部分を自分なりに作る)を作るプログラムである。 プログラムを顕実化できる最新メディアを検討した結果、タブレット端末による映像アプリでの教材が最適であると判断した。なぜなら、メディアの「受け手・使い手・作り手・送り手」をどの時期においても体験でき、試行錯誤できる操作の柔軟性とシンキングプロセスを録画できる記録性に優れているからである。平成24年度はこの実績を元に教材制作と実践に移行する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の全体的達成度は、若干の変更はあったものの「おおむね順調に進展している」と判断する。 その主な理由として、萌芽研究のカリキュラムにユネスコが定義した最新のメディア情報リテラシー教育の構想を加えて精緻化した幼小連携スタートプログラムの枠組みを作成できたからである。 ただし、幼小連携スタートプログラムに準拠した視聴覚教材の制作については、平成23年度後半からの開始時期を変更した。なぜならスマートフォンやタブレット端末の急激な台頭により、メディアに関わる子どもの生活にも最新メディアが影響を及ぼしていると考えられ、本研究で使用する最新メディアの選定を慎重に吟味する必要性が認められたからである。そこで、幼稚園児の保護者を対象にアンケート調査を実施し、その結果から、最新メディアのタブレット端末を活用するアプリ制作が妥当であると分析できたため、平成24年度から制作を開始する。制作開始時期を変更したが、結果的に子ども達のメディア生活に即した最新の教材が制作できると考える。また幼稚園と子ども園での実践時期には、十分間に合うので支障はない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度前半から視聴覚教材(【接続期前期】【接続期中期】【接続期後期】に対応した映像教材:タブレット端末使用のアプリ)を開発し制作する。 平成24年度前半から、【接続期前期】プロジェクトの実践準備を開始する。具体的には、研究協力先の幼稚園と子ども園で指導計画の打ち合わせを行なう。公立と私立、幼稚園と子ども園、両方の実践を行うので、接続期のあらゆる子どもに対応可能であり、メディア情報リテラシー教育を初めて実践する教師が自分のクラスの子ども達のレベルに適宜変更可能なベーシックな指導計画を考案する。 平成24年度後半には、教員研修をかねたメディア情報リテラシー教育のワークショップの企画を検討する。メディア情報リテラシー教育の概念や教授法を学ぶ事前研修として、幼稚園と子ども園でワークショップを実践前に実施する。 その後、指導計画に基づいた【接続期前期】プロジェクトを制作した映像教材を活用しながら、幼稚園と子ども園で実践する。実践の前後にはアンケートやインタビューを実施し、実践中はビデオカメラやICレコーダーで記録する。実践終了後には、レッスンスタディの手法を用いた事後研修を行うことで、実践した教師はフィードバックを得て有意義な振り返りができ、今後実践を希望する教師にはプログラムの全体像の把握につながる。【接続期前期】プロジェクトの実践時期が3月初旬まで継続される可能性もあり、その場合、実践の効果分析は平成25年度になる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
視聴覚教材制作に関して、平成23年度の計画では、後半に【接続期前期】教材制作を開始する予定であった。しかし、スマートフォンやタブレット端末の爆発的な普及に伴い、メディアに関わる子どもの生活にも最新メディアが影響を及ぼしていると考えられ、本研究で使用する最新メディアの選定を慎重に吟味する必要性が認められた。そこで、幼稚園児の保護者対象にアンケート調査を実施した。その結果から、最新メディアのタブレット端末を活用するアプリ制作が妥当と判断したため、次年度に使用する予定の助成金が生じた。よって、この平成23年度の残金は、平成24年度に請求する研究費と合わせることになった。 平成24年度の当初の予算では、【接続期中期】【接続期後期】の教材制作と【接続期前期】の実践のために計画していた。しかし、上記の理由により、平成24年度の前半は、【接続期前期】【接続期中期】【接続期後期】の教材を一貫して制作する。平成24年度の後半から【接続期前期】の実践を研究協力先の幼稚園と子ども園で開始する。
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Research Products
(2 results)