2011 Fiscal Year Research-status Report
学校評価・教育品質保障におけるDDDM概念の導入・普及研究
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23531089
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Research Institution | International University of Japan |
Principal Investigator |
豊福 晋平 国際大学, グローバル・コミュニケーション・センター, 准教授 (10308562)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 学校経営 / データ活用 / 情報システム |
Research Abstract |
平成23年度は、DDDM概念と諸外国における導入経緯を明らかにするために、1)DDDM概念を整理するための文献調査 2)DDDMに関する諸外国の実態調査分析 3)我が国のDDDMフィージビリティに関する調査分析 の3点で進める予定としていたが、本年度は震災の影響も受けたことから、1)に関して米国教育省から刊行されているDDDMに関する主要な文献調査を中心に進めた。文献より得られた成果としては、DDDMはNCLB法との関わりが強く、データ利用により学校経営や意思決定の妥当性を高めようとするコンセプトであるが、i) 連邦政府や個別学校よりは州政府や教育委員会による取組みが大半である、ii) DDDMに必要とされるデータが不足しており活かせていない、iii) 教員のデータリテラシーが低いのでDDDMに至らない、教員個人がデータ閲覧する機会があっても、授業改善に活かすことは多くない、 iv) データシステム相互の互換性が低く有効利用を疎外している、などの課題が指摘されている。特に i)に関しては、州政府と教育委員会におけるNCLB法の施策実施・予算配分決定等と深く関連しており、モデルケースの選択を慎重に行う必要があることが示唆された。3)国内状況に関しては、校務処理システム導入に関連する事項として、グループウェア(情報共有・施設予約等)のような初歩的レベルにある地域と、通知表(要録)作成までを視野に入れている地域が混在しているが、大半は紙媒体資料のデジタル化が目標とされており、DDDM概念を先取りする傾向はわずかに学校評価と関連する「小刻み評価」(=携帯電話を利用した高頻度のオンラインアンケート)に見られる程度である。ゆえに、本研究の海外動向の紹介により国内の実践例に影響を与えることが予想されることから、本年度は昨年度以上に緻密な調査研究を進めたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度は3/11震災により通年の研究体制とは異なる状況にあったことから進捗にも大きな影響を与えた点は否めない。年度前半は危急時の混乱と対外要請により研究が大幅に停滞した。後半からは文献調査が中心であり、整理は未だ十分でない。また、海外・国内等の調査は十分展開できていない状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は23年度の成果を基にして、次の3点から調査研究を進める。1)DDDM概念を整理するための文献調査(継続)~おもな注目点は、DDDMの背景と意義、各国制度・政策とDDDM概念との関連性と概念適用の正当性、DDDM概念によるシステムの構造化、DDDMによる評価指標構成とその妥当性検討、学校現場への普及に際しての方法と課題等。先導的位置付けにある諸外国の政府機関・教育機関・教育委員会等を抽出する。2)DDDMに関する諸外国の実態調査分析~・先導的位置付けにある諸外国の政府機関・教育機関等に対して、文献調査をベースとしたヒアリングを実施し、導入運用状況と課題について明らかにする。3)我が国のDDDMフィージビリティに関する調査分析~・校務情報化として各地で展開されている校務システムの導入・利活用実態について、平成23年度のヒアリング調査をもとにアンケートを構成し、量的に状況把握を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度経費出費できなかった金額については、平成24年度と合わせて使用する。内訳は物品費(79827円)・旅費(1270000円)・人件費謝金(676195円)・その他(629871円)。このうち旅費については、昨年度実施できなかった分を含め国内外の動向調査を行う。その他については、関係機関に対するアンケート調査経費を計上している。
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