2011 Fiscal Year Research-status Report
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23531094
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Research Institution | Kobe Women's University |
Principal Investigator |
大橋 喜美子 神戸女子大学, 文学部, 教授 (10353020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 茂夫 神戸女子大学, 文学部, 教授 (10369738)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 幼保一体化 |
Research Abstract |
近年の乳幼児教育・保育における施策は、幼保一体化が進み、保育所や幼稚園、認定子ども園等における保育者間の保育観や保育内容・方法等の差異は拭いきれないものがある。本研究では、そうした子どもの問題をめぐる現状をふまえながら新たな保育パラダイムを構築し、それらに基づくカリキュラム・モデルを示すための研究が不可欠であると考えている。そこで既存の保育施設すべての枠を見直し、子どもの真の育ちを見すえた幼保一体化に資するための礎石となる基礎研究を行うことが有用であると志向し「幼保一体化に向けた保育カリキュラム・モデルの構築」をめざすことを目的として5年計画で実施している。 第1年目である2011年度に実施した研究実績は●保育者へのアンケート調査実施、(2010年10月より神戸女子大学特別研究助成費により実施)はエクセルでデータ入力、統計分析プログラムjs-rlease0.1.1jで分析を行った。SPSSでのデータについては検討中である。●幼保一体化および保育カリキュラムに関する先行研究から問題の所在を模索した。●日本保育学会第64回大会ポスターにより発表、テーマ:「幼稚園・保育所の一体化と保育の質に関する研究」。●神戸女子大学文学部教育学科紀要 「教育諸学研究」投稿中、テーマ:「幼保一体化における保育の質についての研究―幼稚園・保育所(園)の保育の計画性に着目して-」である。 以上の研究結果から「保育の計画」に着目して幼保の考え方の差異を求め、自由記述からは幼稚園教諭からみた保育所、保育士からみた幼稚園について考え方の差異を明らかにした。こうした点を踏まえて2012年度は保育の質についての課題を深めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本保育学会第64回大会では、アンケート調査の概要と研究計画等について発表を行った。そして、神戸女子大学文学部教育学科紀要「教育諸学研究」ではアンケート調査の中から、教育を中心とする幼稚園教諭と養護と教育の一体化が求められる保育所保育士の意識の差が顕著であろうと考えられる「保育の計画」に着目した。分析はアンケートによる6項目、自由記述による結果から以下の研究成果は見ることができた。しかし、「保育の計画」についても慎重な検討が残されており、また保育の計画以外の整理・検討が今後の研究課題として残されているため、やや遅れていると感じている。●アンケートは以下6項目、回答は4段階評価(1)幼稚園の教育理念・教育方針の理解、保育所(園)の保育理念・保育方針の理解、(2)幼稚園教育要領・保育所保育指針の理解、(3)教育課程・保育課程の編成、(4)保育の計画の作成、(5)環境の構成、(6)保育の計画の評価・反省●自由記述:幼稚園教諭・保育所保育士による互いの保育の計画に関するイメージ 自由記述の結果では、保育所(園)保育士から見た幼稚園のイメージには「教育」の用語が半数以上であるが、幼稚園教諭から見た保育所(園)のイメージでは「教育」の用語の記述は1名であり「養護」の記述が全体の10%程度みられた。また、アンケート項目では「保育の計画」について、保育所(園)保育士より幼稚園教諭に意識が高く有意性が多く見られる傾向にあった。
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Strategy for Future Research Activity |
1.先行研究にみる今後の研究:保育所保育指針、幼稚園教育要領にも述べられているように、保育の指導計画は、子どもの発達がベースとなって計画されなければならないとされている。先行研究では、田中はカリキュラムが構成される視座として、「発達観」「子ども観」「教育・保育観」の三位一体に営まれる事がカリキュラム開発の基本であると指摘している。また、北野は制度の視点から幼保一体化の課題として保育者の資格・待遇・業務内容の三位一体についてその必要性を指摘している。泉等(2009年)が翻訳している「保育カリキュラム開発の論点」では、すべての子どもについて教育レベルにおいて共通の学習目標を立てることが教育の原理であることが強調されている。そうした点は、これからの幼保一体化にむけてのカリキュラム開発に向けて一部依拠していきたい点である。2.今後の研究を進めるにあたっての視座:幼稚園教諭、保育所(園)保育士では、根強い保育観・教育観の差異があることは拭いきれないものがあり、特に保育内容と保育実践にかかわる研究には至っていない点が課題であると言えよう。今後は保育の質の向上にむけて、幼稚園、保育所(園)における「発達観」、「子ども観」、「教育・保育観」の質の検討と研究が必要と感じている。3.2012年度研究課題 2012年度は2011年度の研究成果を踏まえて、以下の2点を中心として研究を進めていきたいと考えている。1)幼稚園、保育所、認定子ども園保育観察によるデータ収集・整理、2)観察記録の映像について、同じ映像を幼稚園教諭、保育士にみてもらい、幼稚園教諭からみた保育所、保育士からみた幼稚園について議論し、その保育観、教育観の差異について明らかにする。3)2012年度の保育観察からプロトコル分析、保育カリキュラム・モデルの試案作成。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.行動コーディングシステムの購入 保育観察について、ビデオカメラにより収録したデータについて、子どもと保育者の行動について分析をするために以下の行動コーディングシステムが必要である。本システムについて研究代表者は、2011年度本計画作成当初、知識を持っていなかったため、計画に記載していなかった。しかし、研究を進めるにあたり、必要性を感じているため、検討をしたいと考えている。●理由:1)ソフトから映像を制御するため、デッキ操作が不要である。2)観察結果と映像が連動するため、ワンクリックで映像の見直しやができるため、正確でスピーディに観察ができる。3)観察と同時に集計、分析、解析ができる ・・・など。●価格:セットの公開価格は80万円程度だが、業者に交渉する予定。2.謝礼 幼稚園教諭・保育所(園)保育士等に幼稚園、保育所(園)で収録したVTRを見てもらう際の謝礼、 1人5000円(1回分)×10人×5回=25万円3.その他
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Research Products
(3 results)