2014 Fiscal Year Research-status Report
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23531094
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Research Institution | Kobe Women's University |
Principal Investigator |
大橋 喜美子 神戸女子大学, 文学部, 教授 (10353020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 茂夫 神戸女子大学, 文学部, 教授 (10369738)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2017-03-31
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Keywords | 幼保一体化 / デンマークの保育 / 自然環境と保育 / 自己肯定感 / 保育カリキュラム |
Outline of Annual Research Achievements |
●研究の目的 近年来の少子化進行に対する国家的取組にもかかわらず、その解決への道のりはさらに遠い。マクロな視点での国家存続を左右する問題であるばかりでなく、ミクロな視点でも子どもの育ちや彼らの育成等に関わる問題も著しく顕在化している。それらは、待機児童の増加や子育て支援、児童虐待等の問題と枚挙に暇がない。本研究では多様化する既存の保育施設すべての枠を見直し、子どもの真の育ちを見すえた幼保一体化に資するための礎石となる基礎研究を行い、「幼保一体化に向けた保育カリキュラム・モデルの構築」をめざす。 ●平成26年度の成果と今後の課題 〇基礎研究との関連:幼稚園と保育所(園)の保育者の意識の相違やその要因が保育環境にあるなど、一定のまとめができた。そこから、現代の日本の子どもに求められる自尊感情が育つ環境について着目しデンマークの保育の視察を実施した。〇デンマークの自然環境を生かした保育実践:自然環境を取り入れた保育実践は、子どもの感性をはぐくむと同時に自己肯定感が育つことが子どもの姿から受け止めることができた。時間に追われない保育、子どもの気持ちを尊重した保育と合わせて、保育者が受け持つ子どもの人数など、構造的な相違についても直観的ではあるが明らかにされた。 ●今後の課題 自然環境と保育者の人数と子どもへのかかわりがどのように影響しているのか、そのことが自己肯定感をはぐくみ自尊感情を高めることに着目し、保育カリキュラムの構築を目指すことが今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本保育学会第67回大会において、「幼稚園・保育所(園)の一体化と保育の質に関する研究(4)―保育実践から見る幼保間相互の差異に関する分析―」いついて発表を行った。幼稚園、保育所の実践記録映像収録と実践者へのインタビュー調査の逐語録から、幼保保育者間の保育観差異を求めた。そして、保育実践映像に関する保育者間の感想から逐語録を作成、分析を実施した。逐語は保育所保育指針、幼稚園教育要領、子ども子育て関連3法を参考に、13項目にカテゴリー化し、一度でも会話が出現した時に○とした。カテゴリーは①保育の質と専門性に関して、②個人、および集団の発達や成長など、③生活全般にみる情緒の安定に関すること、④は健康安全、⑤⑥は環境に関する内容、⑦⑧は指導案と実践の関係や保育の連続性、書式、⑨自己評価客観的評価を含む内容、⑩施設・設備に関する内容、⑪保育者の人数や集団の人数などの体制、⑫幼保比較に関する全般、⑬小学校との連携に関する事項である。 本来ならば、学会発表およびデンマーク視察から得た情報から、カリキュラムを構築する時期に来ているが、そこまでは達成できていない。しかし、資料等の収集は出来つつある。
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Strategy for Future Research Activity |
日本の子どもたちが、自己肯定感を持って生きることができるような、保育カリキュラムの構築が必要であると考えている。特に、2015年4月より子ども・子育て新制度が始まったが、保育の現場や保育の養成校では混乱をきたしている。そのため保育に関してのカリキュラム研究は、保育所(園)、幼稚園、認定こども園を視野に入れて進めていかなければならない。視察等から得たデンマークの自己肯定感を大切にした保育と環境の関係、日本における保育所(園)幼稚園、認定こども園の環境要因と保育計画の関係を明らかにしながら、子どもの発達をベースとした環境に基づく保育カリキュラムの構築を目指す。
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Causes of Carryover |
幼稚園と保育所(園)の保育の計画性等におけるアンケート調査の結果、園の教育理念・保育理念・教育方針・保育方針の理解などに幼稚園の保育者が有意であった。そこで、環境が1要因であると仮説した。その結果、環境においても幼稚園が有意であった。しかし、本研究では、4進法によるアンケート調査の結果であり、環境に関する詳細な検討が必要であると感じた。それらを明らかにするための調査を年度内に実施予定であったが、アンケート内容の検討に時間を要し平成26年度内に実施ができなかった。 日本国内における環境に関する実施調査を計画していたが、調査先の都合により延期となった。 デンマークにおけるデータに関して翻訳を依頼しているが、翻訳者が多忙なため、翻訳終了は9月頃の予定。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
●2016(平成26)年度に視察したデンマークで収集したデータの翻訳代金 ●アンケート調査の郵送代 ●日本国内における保育環境に関する実地調査
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Research Products
(2 results)