2011 Fiscal Year Research-status Report
保育士のワーク・ライフ・バランスの実態と就労継続の諸条件の実証的研究
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23531101
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Research Institution | Ryukoku University Faculty of Junior College |
Principal Investigator |
中根 真 龍谷大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (00309642)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ワーク・ライフ・バランス |
Research Abstract |
研究目的は、保育士のワーク・ライフ・バランスの実態と就労継続の諸条件を実証的に明らかにすることである。 平成23年度は計画どおり、初年度のパイロット・スタディを実施した。具体的には、京都市・大阪府下の保育所・児童養護施設に勤務する保育所保育士・施設職員(退職者も含む)15名程度(いずれも女性)に加え、当該施設の管理者(施設長、副施設長等)3名に対する調査を実施した。 調査事例数としては限界もあるが、そこから浮かび上がってきた知見がある。その主要な意義を上げれば、第1に出産・育児を経た後、就労継続している保育士のワーク・ライフ・バランスの実態はきわめて多様なことである。具体的には、夫の職業・職種、家事・育児への参加・協力状況、祖父母等の同居や近居の状況、保育所の利用状況、勤務施設における人事方針や育児中の職員に対する様々な配慮(育児時短制度等)の状況などの諸条件の相違によって、その実態は多様であった。第2に、保育士のワーク・ライフ・バランスの問題は決して目新しいものではなく、かつては保母のワーク・ライフ・バランス問題として歴史的に存在してきたことである。当初、パイロット・スタディの対象者は現在、小学生以下の子どもの育児をしている保育士・施設職員に限定していたが、参考として50~60歳代の保育士へのインタビューを行ったところ、育児休業法制定以前またはその前後の時代状況下で、どのように苦慮を重ねていたかという証言を得ることができた。したがって、平成24年度以降、直近の実態把握に加え、この問題の歴史的な実態把握のためのアプローチを模索していく。 とはいえ、課題としては、第1に保育士・施設職員の所属組織間の差異、第2に地域間の差異が上記のパイロット・スタディおよび文献調査の結果から想定されるため、これらの差異を加味した研究を展開していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
最大の理由は所属研究機関内部の業務との兼ね合いから、とりわけ、インタビュー調査等の学外調査の時間確保が至難であるためである。平成23年度は所属学科新設初年度であったことから、学部長補佐、学部教務主任として学内外の諸会議への出席を求められることが多く、平成24年度以降に予定していた福井県および富山県における調査の準備や各種調整を行うことができていない。調査予定の現地に赴き、関係者等と面会する時間すら確保できないという厳しい状況にある。 なお、平成24年度は所属学科の完成年度にあたるため、所属研究機関内部の業務の状況は上記と大きくは変わらないため、現実的な対応として、調査地域の限定や調査対象規模の縮小など、研究計画の修正が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
第1に、所属研究機関内部の業務との兼ね合いから学外調査時間の確保が至難である現状をふまえ、京都市・大阪府など所属研究機関近郊でのインタビュー調査を継続し、調査事例数を増やすことである。 第2に、交通アクセスと所要時間を考慮すると、富山県での調査はいったん保留し、福井県での調査に限定して進めることにする。 第3に、保育士(保母)のワーク・ライフ・バランス問題に関する歴史的な実態把握の試みとして、所属研究機関の図書館等が所蔵する資料に関する文献調査を基本としつつ、保育者(保育士・幼稚園教諭・施設職員等)による手記や実践記録等の文献調査を併せて行うことにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費として文具・インクカートリッジ等の消耗品、歴史的な資料としての図書・雑誌等の支出を計画している。 旅費としては京都市・大阪府下を中心に、福井県下への出張旅費の支出を計画している。 人件費・謝金としてはインタビュー調査への情報提供料の支出を計画している。 その他としてはテープ起こしの業務委託料の支出を計画している。
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