2013 Fiscal Year Annual Research Report
保育士のワーク・ライフ・バランスの実態と就労継続の諸条件の実証的研究
Project/Area Number |
23531101
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Research Institution | Ryukoku University Faculty of Junior College |
Principal Investigator |
中根 真 龍谷大学短期大学部, その他部局等, 教授 (00309642)
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Keywords | 保育士の主体的条件 / 保育士の職場の条件 / 保育士の家庭の条件 / 保育士の社会的条件 |
Research Abstract |
平成25年度の研究として、第1に戦前期に活躍した社会事業学者・海野幸徳(1879~1955)の託児所論について内務省嘱託・生江孝之の保育事業論との比較も交え、託児所保姆の待遇問題が古くて新しい問題であったことを歴史的に明らかにした。第2に平成23年度に実施した保育士インタビュー調査の結果にもとづき、日本保育学会誌に論文を投稿した(平成26年度掲載決定)。その具体的内容は、就労継続の継続要因と中断要因の分析・考察である。就労継続の諸条件は①育児時間が常時、非常時を問わず確保しやすい職場である、②夫や祖父母等の日常的な協力・支援が得られやすい、③保育所等の社会資源をある程度有効に利用できる等を明らかにした。第3にインタビュー調査として、①民間保育園退職保育士への調査、②民間児童養護施設職員の調査を実施した(平成25年6~7月)。なお、①の調査結果等をふまえ、1970~1980年代に仕事と育児の両立を経験した「保母」のワーク・ライフ・バランスの実態を明らかにし、2010年代現在の状況との異同を考察した。また、②の調査結果は、3年間の研究成果報告書に「調査報告:児童養護施設職員のワーク・ライフ・バランスの実態」として収録した。 研究期間全体を通じた成果は、第1に調査対象地域が限定されたが、保育所保育士、児童養護施設職員、各施設管理者対象のインタビュー調査を通じて、そのワーク・ライフ・バランスの実態と就労継続の諸条件を実証的に明らかにしたことである。第2に歴史的研究の併用によって部分的ではあるが、戦前期託児所保姆の待遇問題を明らかにしたこと、また1970~1980年代に仕事と育児の両立を経験した「保母」へのインタビュー調査をふまえ、過去の実態把握と2010年代の現在との異同を明らかにしたことである。
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