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2011 Fiscal Year Research-status Report

「キャッチアップ終焉」後の教育改革に関する比較社会学的研究

Research Project

Project/Area Number 23531108
Research InstitutionKansai University of International Studies

Principal Investigator

苅谷 剛彦  関西国際大学, 公私立大学の部局等, その他 (60204658)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywords国際研究者交流 / 戦後日本社会 / キャッチアップ / 近代化 / 教育政策 / 西欧化 / 韓国 / イギリス
Research Abstract

1970年代末から1980年代初頭に、戦後の日本社会は、西欧社会に「追いついた」という認識を持ったことが、「大平政策研究会」の文献調査によって明らかになった。この事実をもとに、当時の研究会参加者である石井威望氏、小林登氏、村上陽一郎氏に聞き取り調査を行った。その結果、当時の時代認識としては、西欧諸国に実際に追いついたという感覚はそれほど強くはなかったものの、時代の変化に対応していくためには、そのような主張を前面に出す方がよいという認識があったことが判明した。また、韓国出張を通じて、文献調査を行うとともに、おもに80年代、90年代に教育政策を担った専門家へのインタビューを行った。これらの調査を通じて、韓国においては、日本の80年代ほど明確に、先進国に追いついたという意識を持ったことはないこと、軍事独裁政権下ではナショナリズムの強調がなされる一方で、政権の正当化のための経済成長政策がとられたこと、韓国の経済成長期が、すでにグローバル化が顕著になる時代と重なっていたために、日本ほど明確にキャッチアップの達成を認識する時間的余裕がないまま、さらなる国際競争に巻き込まれているという認識を持つことも明らかとなった。 これらの調査とあわせて、近代化論と非西欧社会におけるその摂取を中心にした文献の講読を行った。その結果、現在までのところ、1960年代の近代化論が米ソ冷戦時代のイデオロギー対立の刻印を押されていること、日本が近代化の成功例として見なされる背景に、そうした近代化論のイデオロギーが存在したことが明らかとなった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究計画において予定した、日本での聞き取り調査の第一段階(大平政策研究会メンバーの一部への聞き取り)、ならびに韓国における教育行政担当者への聞き取り調査を実施し、上記の通り一定の成果を得た。これらの成果をまとめ、さらに文献調査を進めた。と同時に、これまでの研究成果を今回の研究テーマの視点からまとめ、論文として発表することも行った。市民社会の形成と教育の関係についての論文はそうした成果の一部である。ただし、文献調査については、どのような文献が研究に資するかの情報収集を行い、大量の文献を入手したものの、それらを十分に精査するには至っていない。これについては引き続き次年度以後に継続して実施していく。

Strategy for Future Research Activity

今年度(2012年度)は、アメリカでの聞き取り調査ならびに、日本での聞き取り調査の継続を中心に行うとともに、文献調査をさらに深めていく予定である。アメリカでの聞き取り調査については、ハーバード大学のエズラボーゲル教授との聞き取り調査を予定している。それというのも、同教授の著書『ジャパン・アズ・ナンバーワン』が、日本人のキャッチアップ終焉の意識に多大な影響を及ぼしたこと、また、その執筆過程において大平政策研究会のメンバーであった日本人研究者との議論がその執筆と日本での受け入れに一定の役割を果たしたことがこれまでの研究から明らかになったからである。ボーゲル教授とはすでにコンタクトをとっており、日程の調整を行った上で、アメリカ出張の際に聞き取りを行う。また、日本では昨年度実施できなかった公文俊平氏を中心に、大平政策研究会のメンバーへの聞き取りと文献調査を継続していく予定である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

(研究代表者は海外在住のため)日本での文献調査を年度をまたがる2012年3月から4月にかけて実施したために、イギリスから日本への旅費が次年度払いとなった。そのこともあり、次年度使用額が140,618円発生した。したがって、この額についてはすでに支払い済みである。また、今年度は、この旅費とあわせ、日本での再度の聞き取り調査、文献調査を夏に実施するための旅費、ならびにアメリカでの聞き取り調査を実施するための旅費を予定している。 さらに、引き続き、文献調査を行うための図書費、研究成果を英文で発表するための英文校正謝金、翻訳のための謝金についても、使用を計画している。

  • Research Products

    (1 results)

All 2012

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)

  • [Journal Article] Is Everyone Capable of becoming a ‘Good Citizen’ in Japanese Society? Inequality and the Realization of the ‘Good Citizen’ Education2012

    • Author(s)
      Takehiko Kariya
    • Journal Title

      The Multicultural Education Review

      Volume: Vol.4 No.1 Pages: 119-146

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2013-07-10  

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