2013 Fiscal Year Annual Research Report
「キャッチアップ終焉」後の教育改革に関する比較社会学的研究
Project/Area Number |
23531108
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Research Institution | Kansai University of International Studies |
Principal Investigator |
苅谷 剛彦 関西国際大学, 公私立大学の部局等, その他 (60204658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱名 陽子 関西国際大学, 教育学部, 教授 (60164919)
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Keywords | 圧縮された近代 / 開発国家 / 平等主義 / 教育財政 / 臨時教育審議会 |
Research Abstract |
本年度は前年度から引き続き、政策文書と歴史文献の検討、分析を行うとともに、最終年度にあたり、これまでの研究成果を一部発表した。これまでの研究から、日本におけるキャッチアップの終焉を理解するためには、よりグローバルな文脈に研究を位置づけることが重要である。そのため、今年度は、Chalmers Johnsonの「開発国家」の概念や、Kyung-Sup Changの「圧縮された近代」の概念との関連性が重要であることとの認識から、その面での理論的検討を行った。と同時に、これらの概念を用いて、戦前、前後期の日本の経済と教育の発展に関して、経済審議会や中央教育審議会、臨時教育審議会等の政策文書の読み取りと分析を行った。これらの分析を通じて、開発国家としての日本の歴史を終戦までの第一期と、キャッチアップ終焉が宣言されるまでの戦後の第二期とに分けて、圧縮された近代化が二つのフェーズを持つことを明らかにした。そして、この二つのフェーズで、教育と国家との関係に大きな変化が見られることを示した。 これらの成果は、2013年9月に九州大学で行われた国際シンポジウム(「アジアの中の日本」)においてキーノートスピーチとして口頭発表するとともに、その一部を藤原書店が発行する『環』という雑誌に発表した。さらには、英文論文、”The Two Lost Decades in, and through, Education”を執筆した。これについてはシンクタンク、日本再建イニシアチブが主催する研究プロジェクト Japan’s Lost Decadesで発表の後、同プロジェクトが英文で刊行予定の編著に掲載されることになっている。 また、キャッチアップ終焉に向けての教育政策の展開が、日本的な平等主義と関連するというアイデアをもち、幼児教育から高等教育にまたがる日本の教育の平等の考え方の検討を行った。これらについては英文論文の執筆を準備しているところである。
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Research Products
(3 results)